ゆかのんかズよみごと!!

読んだこと見たことを思い出したらお知らせします。

今日の一作vol.276 不器用なトライアド…若者の過ち、芽生える恋、青いけどいいねー

不器用なトライアド (二見書房 シャレード文庫)

不器用なトライアド (二見書房 シャレード文庫)

忍は高校三年間、片想いしてきた弘哉に玉砕覚悟で告白した。するとノンケなのに遊び人の彼は試しにやってみたい。セフレでいいなら付き合うという。一度でも抱かれてみたかった忍はそれでもいいと言ってしまう。と、早速とそのままやられるが、本当にいれるだけ。弘哉は自分本位の、忍が痛がっていても自分に抱かれているんだからいいだろと、大学進学後も頻繁に抱くように。
弘哉は思っていたよりも忍がよく、はまっていくが、惹かれていくのを認めず、身体だけだと、今度は同じ高校だった忍も知っている達巳を誘い3Pをする。
忍は諦め受け入れるが、達巳は優しく抱いてくれ、むしろ弘哉だけよりも楽に。
そのまま3人でするようになるが、弘哉が女の子といるところを見て、忍は弘哉と関係は絶つことに。一人落ち着いてみてふと思い浮かぶのは達巳で。

片想いはそのままのほうがよいです。
弘哉はほんとに馬鹿な奴です。ホントは忍を好きになっていたのに、ホモじゃない、と忍を邪険にする。で、忍は一気に弘哉への気持ちは冷めてしまう。で優しい達巳が好きになる。達巳もあまりな弘哉の態度と忍の健気さとに次第に気持ちまで忍に惹かれる。
若いけどぐるぐるしてるけど、こんな感じは嫌いじゃない。ちょっとずつ誰もが覚えのあるような感情で、ただ3Pだけの話かと思いきや、青春してるじゃん、と切なくなりました。
まあ結局どうなったのかは表紙のイラストから少しわかるかな。
新人さんのようですが、次作が楽しみです。

今日の一作vol.275 鈍色の華…冴えない中年でも味わうと病みつきになる毒華に。

鈍色の華 (ビーボーイノベルズ)

鈍色の華 (ビーボーイノベルズ)

大手会社の物品管理課で働く鶴谷は40代後半なのに白髪の目立つ冴えないサラリーマン。通りすがりを見初められたのか、ある日社長の兎河に呼び出され業務提携のために海外の重役の接待を任される。しかもゲイの彼等をSEXでもてなすように言われ、悩んだが引き受けることに。
初めは戸惑ったがその内に身体も慣れ、それなりの報酬ももらえるので続けていた。しかし相手の一人、ダンが本気になり自分のパートナーになるように迫ってきて、その気のない鶴谷は兎河と相談、会社を辞めることに。
しかしその前に、兎河とも一度してみたいと思い…。

クセありまくりのオヤジ受け。
結局鶴谷は誰に対しても本気にはならず、今気持ち良くしてくれる相手ならよいという境地に。
そこが怖い。
兎河は鶴谷が毒華なのは最初判っていて、それでもはまってしまう。
怖いわー。

後半はダンと彼と契約してゲイでもないのに関係する佐川の話。
これもまたダンが可哀想かな。また本気になっていくんだけど佐川は出世のためにsexしてるわけで、契約後は結婚するつもり。でも身体がダンとでないとイケなくなってしまう。そしてなんだかんだとダンとまとまる。
真面目なダン。
まあよかったね。

木原さん独特のヘビーでどこか人情・人間くさい話。
ゲイではない人がはまってしまう話が多いですよね。
つい読んでしまいます。

今日の一作vol.274 境界ボーダー…十年愛のわりに愛が感じられない。事件が出張りすぎ

境界  ボーダー (幻冬舎ルチル文庫)

境界 ボーダー (幻冬舎ルチル文庫)

築地東署の刑事、松本と渡辺。高校から大学そして職場も一緒。二人とも美形だが、全くタイプが違い性格も真面目な渡辺と根無し草のような松本だが、親友としてやってきた。
ある日、人気俳優がホテルで死亡。そのパーソナルカウンセラーが容疑者に。だが松本は彼が犯人とは思えず、話を聞こうとすると飲みに誘われ、酔っ払い、翌日ホテルで目覚める。と、第二の殺人が起きていて、容疑者と飲んでいたことか問題に。渡辺にホテルでのことを疑われ、そのまま松本は犯されてしまう。
松本は謹慎の身ながら事件を追いつつ渡辺のことを考える。


事件は面白いというか、よくよくできてるなあと思います。
でも、渡辺からの愛も松本の気持ちもあまり共感できるような箇所がないですね。推測として、高校大学と渡辺つらかったのかな。くらい。
松本もぺらい。
その変わりのなさが味なんだろうけど、容疑者の榊にかけるくらいの執着を渡辺にも。
犯人はまあ予測できましたが、気分のいいもんではないですねー。ペドはいかーん。
タイトルのボーダーは親友と恋人のということなんだろうな?
恋愛ものという感じしなかったので。

今日の一作vol.273 初恋の相手は天使でした…ヘタレすぎる。

初恋の相手は天使でした (幻冬舎ルチル文庫)

初恋の相手は天使でした (幻冬舎ルチル文庫)

日和が生まれた時からいつもそばにいた兄の友人の流成。日和をモチーフに絵を描き賞を得た流成は美大を卒業後にフランスに留学してしまった。そうしないと、幼い日和を無理やり襲ってしまいそうだったからだ。
しかし日和は突然いなくなったとしか思えず寂しい思いをしていた。
6年ぶりに帰ってきた流成に再会。相変わらず日和には優しい流成はだが、前よりも愛らしくしなやかな青年に育った日和を前にまた気持ちを抑えられないと悩む。


ヘタレの攻め流成くん。
そりゃあ家族から省みられずに日和の家庭で育ったようなものだけど、赤ちゃんのころから日和一筋になって、さすがに自分でもヤバいと思ったのはえらい。
だけど逃げたり、監禁したりする前にまずは告白しましょうねー。
日和はすくすく育って流成でもはたくくらいしっかりものになったんだし。
天使だなんだと夢みすぎじゃ。
あと日和の友人の大澤の出てくる意味は?かなりキャラ作りしてるので、なんか嫉妬要因にするのかなと思ったのに。
最終的に話は惜しい感じ。
もう一つ盛り上がりがほしかったなー。

今日の一作vol.272 祝福された吸血鬼…ひきこもり吸血鬼はベタ甘で可愛がろう

祝福された吸血鬼 (キャラ文庫)

祝福された吸血鬼 (キャラ文庫)

元小国の王子だったアウロラは、その美しさと秀でた力を見込まれ攫われ、ナハツェール・吸血鬼にされてしまった。
永遠の命を得たものの自分は化け物にされたと嘆きナハツェールにしたラルウァを憎み、やっと三百年たったところでラルウァを塵とかしてやった。
それからまた二百年、一人で生きることに飽きていたある日、アウロラの住む古城を囲む魔の森で国を追われ逃げてきた少年を拾う。彼はかつての妹によく似た美少年で王位継承争いに巻き込まれた王子であった。妹にも似ていたし気まぐれで彼をフロースと名付けて城に住まわせた。
フロースはアウロラの正体を知ってなおアウロラを慕い、やがて5年が過ぎたが、華奢で愛らしかったフロースは若き獅子のような青年に育った。
そして暇に任せては毒薬のような霊薬をつくり効果を試すことを楽しみにするようなひきこもり吸血鬼のアウロラの面倒を見てその美しさを磨くことに心血を注いでいた。
だが、そこへまた魔の森に侵入者が。

楽しい!
吸血鬼になってしまったアウロラの辛さや化け物としての自己嫌悪もよくわかるし、だからこそフロースを慕わしく思っちゃいけないと耐えるのもわかる。
でもフロースは一目惚れでアウロラとともに生き、お世話したいと思うし、虎視眈々と狙う性格の黒さもいいですね。
宮緒さんの話はこの性格の黒さとか執着とか変態さがよいです!
しかもアウロラの天然ボケがいい!
毒薬いや霊薬をいそいそと取り出すとこや色ごとに鈍いとこがまたよろしい!
読みながらニヤリとしてしまう。
ふふ。

今日の一作vol.271 結婚したいと言われても…バカップル成立です。

結婚相談所の相談員の那波はゲイだからこそ、自分の元でカップルを誕生させ結婚できる喜びを見ていたい、そして自分もいつかただ一人の人に出会い生涯をともにしたいと思っていた。
そんなある日、新規でやってきた里見は人気作家で背も高く顔もハンサム。しかし自分の見目には拘らないのかボサボサの髪にトレーナー姿。何度か女性と会わせてもうまくいかない。しかもなんと那波のことを気に入ってくれたようで、一緒に食事をしたいと言う。気になる存在だし、ならばと那波は里見に付き合い、外見を磨き食事をし、果てはホテルまで行ってしまった。
会員相手に本当はいけないのに、里見のストレートさについ構ってしまって。

大型犬に懐かれつい手をかけてやり、手放すのが惜しくなりましたとさ。
まあ前提として横暴な前カレに振り回され疲れたところだったので、甘々な里見がストンときちゃったんでしょう。
なんだかんだとくっついた二人ですが、エッチの時に口数多いのはどうよ。言葉責めというより砂糖まぶされてる感じ。
まあ那波がいいならいいけどね。
巻末のショートは砂吐くほど甘いです。
覚悟の上で読みましょう。(;^_^A

今日の一作vol.270 甘い夜伽 愛の織り姫…世間知らずで自己評価低い子はイラつくがそこが庇護欲なのか

甘い夜伽 愛の織り姫 (ディアプラス文庫)

甘い夜伽 愛の織り姫 (ディアプラス文庫)

京都の織り元の御曹司・未紘は高校生の頃、祖父のもとに弟子入りしていた頼人に恋をしていた。初恋は成就し初めて身体を繋げた夜、家が火事になり両親は死に、頼人も怪我をし職人としての未来は絶たれ姿を消す。未紘は倒れた祖父とともに叔父に面倒をみてもらう暮らしに。
火事の損害での借金を返すために、祖父のやりかけの仕事を完成させ祖父の名で着物や帯を売ることに未紘は苦痛を感じていた。それでもまだ足りないと取り引き相手に未紘は体を売ることも。
そんな日に愛人契約を持ちかけてきた相手が、頼人だった。

京都の粘度の高い古式さが、未紘を締め上げていますね。
ストレートに悪いのは叔父さんですが、未紘も疑いすらせず諾々と受け入れてるし、自分が悪いんだといわんばかりなのは好かんです。
出自や格式や実の姉の嫉妬やら色々混ざってとぐろ巻いてます。
そのへんの絡みはいいけど、わりと頼人がヘタレというか、未紘からみる凄い素敵な何でもできる人という印象ではないと思う。生まれたときから知ってたんなら、どうにかしてやれや。
愛人契約とか今更か。
連れて逃げようくらい失敗してもやってみればよかったのに。
まあ頑張って出世したから戻ってきたんだなーとはおもうけどね。
良かったねーとは思うものの、ツッコミいれたい話でした。