今日の一作vol. 362 隻眼の騎士と癒しの花嫁┅異世界に跳ばされたと思ったら··皆自分の居場所を求めてる
ある力のせいで家族からも避けられていた真名。ある日いきなり見知らぬ森の中に。森をさまよっていると隻眼の騎士に出会い、彼ジークフォードの矢傷に手を触れた途端眩い光に包まれ気を失う。
目覚めるとジークフォードに助けられ王城に連れてこられていた。
ジークフォードは近衛兵団の団長で、真名に触れられて傷は治り恩人だといって真名を保護してくれた。
真名は行く場所もなく、元の世界に戻れても自分の居場所はないと、ジークフォードの側にいられることを喜んだ。
実は真名を呼び寄せたのはジークフォードが呪い師に頼んだからで、彼の弟王リディアの病を治してもらえたらと、期待したからだった。
真名の力は正しく癒しの力なのか。
庶子であるジークフォードを国王にしようとする勢力に真名は邪魔者とみなされて。
異世界召還もの。でも実は元いた世界だったという。
幻獣のユノの可愛さにほだされました。
真名になついていたフェレットのような子ですが、真名の原生のようなもので。
そのへんのことは読んでみないとなので、単純な感想としては、可もなく不可もなく。
似たような話は今いーっばいあるので、あげればきりないですが、それらよりは基本に忠実なファンタジーかな。
BL で異世界いくとまあ大抵王子や王様とくっつきますよねー。
もしくは凌辱されたり生け贄にされたり。
そういうハードなのは、そうとう話が上手い人の作品しか読みたくないですね。
今回の話は争い事の動きや人物がやや曖昧で、主要人物が話を進めているので、地味というか面白さがやや欠けていた。
あとはジークフォードが隻眼になる理由があまり納得できることではないので、あえて隻眼にしなくても。
勢力争いのなかでリディアを守ろうとして受けた傷でとか、そのせいで反リディア派とかを退かせられたとかなら良かったのに。
そういう細かなエピソードが緩い気がする。
中々に癒しの力とかの設定は面白かったので、ちょっともったいない。
キュッ、とユノが鳴くのが好きです。
今日の一作vol. 361 緑土なす┅神の理と愛とが成せる
ラセイヌ国の最後の今世王レシェイヌ。大地を豊かにする力を持つ一族。王族しか愛せないこの一族は近親婚により数をへらし、王族しかかからない病に倒れ、レシェイヌのみとなり、その孤独に国土も陰りをみせていた。レシェイヌは自分亡きあとは大臣らに任せられるよう準備し始めるが、そんな折り、先代の王の庶子が三十年以上前に行方不明になり、生死も定かではないと教えられる。
当時も探したが、一縷の望みをかけて国中に捜索の手をのばしてはと言われて、さほど期待もせずに、三十代後半の男子は王宮に上がり、レシェイヌと謁見するようにと御触れをだした。
国中の男子が順に王宮にあがることとなり、山奥で暮らしていた足弱も行くことに。
足弱は山奥で老人と暮らしていたが、老人が亡くなってからは1人で薬草を売ったりなどしていた。右足が曲がっていたので足弱と言われて育ち、他の縁者などはいないと思っていた。
長い旅の末、やっと着いた王宮で王に謁見をすると、王が足弱に興味を示す。
そして次の日には帰るはずが、足弱は呼びとめられ王のもとへ。
足弱は王レシェイヌの兄庶子ラフォスエヌなのだという。
急なことに怯えるだけの足弱にレシェイヌは兄上と呼び独りで淋しかったと慕ってくる。
そして少しずつ慣れたかと思うころ、一族を愛する思いを押さえきれずにレシェイヌは足弱を襲ってしまう。
倫理に反することと教えられてきた足弱にはレシェイヌの愛情は恐怖でしかないが、王族を守ってきた一族·灰色狼たちの諭しや懇願に、またレシェイヌの孤独と愛情に次第に心を開いていく。
二巻続けて読まないとなりません。
只々足弱が可哀想で。
だからレシェイヌにも狼たちにも愛されてください!
いいんですよ、もっと欲深くて!
と読みながら声援を送ってしまうんです!
神の域の力があるのだから、多分望めば子どももできるでしょうね。
でもその後子どももまた独りになったらと思うと、産めない気もする。
いやいや、まだ二人は新婚さんだし、愛し合う度に奇跡がおきて、大地が緑豊かになるのだから、この国の緑の息吹き全てが子どもたちのようなものだよね。
なんだかんだ揉めますが、まとまります。
その辺は読んで欲しい展開です。
一年経ってやっと手にいれました。
ずーっと読みたいなあーと気になっていた話なので、満足いく話、終わり方でよかったです。
やおいで終わったらどうしようと。
(やおい、というのは山なし落ちなし意味なしということで、BLのなかでただやってるだけの話です。近頃使い方間違えてる方多いです)
設定しっかりしてるし、場面転換してレシェイヌ側からや足弱側からなど無理なくよく分かる話運びで、上手いです。
新作がでたら読みたいです!
今日の一作vol. 360 略奪王と雇われの騎士┅粗すぎな話運びに落胆す
自由騎士ノエルは自国へ戻る途中、大勢の敵と戦う一人の騎士の助太刀をすることに。
シルヴァンと名乗る騎士はそのままノエルを雇うが、彼は実は視察に出ていた国王だった。気さくな彼に心惹かれていたのに、強引なやり方には反発を覚えるノエル。
しかもシルヴァンは俺のものになれと体まで奪って側に留まることを求めてきて。
出会い方や宰相や王太后が国王のことを亡きものにしようと襲撃してくるところは、某戦記の話を思いだしました。でもまあ面白そうだと読み進め、ノエルのトラウマなどもよいのですが、いまいち細かいところが気になる。まず国王が一人でいたのは何でかという説明から、ノエルを好きになったというアピールが足りないし、逆も。宰相に対しての対策についてふわっとした説明しかなくてイライラする。
二部作で、ノエルがこのまま残るのかどうかとノエルの出自を利用しようとする王太后らの企みが稚拙すぎるし、ノエル自身がシルヴァンを好きなのはわかるけど、そこからどう動くべきかがだるだるで女々しすぎる。
ちょっと面白そうと期待した分、粗すぎな内容にがっかり。
もっと肉付けした話にしてから本にしてほしい。
今日の一作vol. 359 運命の向こう側┅自分たちの世界が日常
オメガだけど、明るく前向きな春間。まだ発情の兆しがないため抑制剤は処方されていなかった。通常学校などアルファと場所を同じくするような場合には、そのことが知らされているはずで、万が一にも事故のないようになっているはずが、高校の入学式で、春間は運命のつがいの冬至と出会ってしまう。
会った瞬間お互いを求めあってしまい、それ以来二人は離れることなく過ごした。やがて社会人になり、もういつ結婚し、子どもを作るのかという段階でのある日、冬至の部屋で愛し合い、あくる日の朝、何かが違っていた。冬至と春間は二人でバース性のない世界に来てしまった、というか、平行世界の二人と入れ替わってしまったらしい。
バースに関することだけ面白いように変わっていたが、二人が単なるゲイの恋人同士でじれったいくらいゆっくりと付き合ってきて、セックスも不慣れならしい。
出会った瞬間からやりまくっていたこちらの二人は、オメガやアルファという前提でなく、愛し合うということに考えお互いの今までの気持ちを顧みる。
結局どんな始まりでも、好きなことにはかわりないと、ふたりは元に元に戻ろうとするのだった。そして。
他にはないオメガバースの話で凄く面白かった。
オメガでも全然明るい春間。むしろ発情や差別のない普通の男子というのはなんて楽なのかを実感していた。こちらの世界にずっといても、とも思うけど、決して今までの自分が嫌だったわけでもない。そのへんの葛藤とか冬至との関係について端的に書かれていて、ウンウンよく判ると読みました。
そしていきなりバース性の世界に行ってしまった二人はどうなんだろうと気になったりして。
オメガバースの話でこんなにすっきりと読めるとは思わなかった。日常的なオメガバースなのはいいです。
オススメです。
今日の一作vol. 358 恋する猫耳┅かわいいっす
野良の黒猫のナツ。大好きな大輔と一緒にいたかったのに、ある日無惨に殺されてしまう。最後に思ったのは大輔のこと。
そして目覚めるとなんと、人間になって大輔に保護されていた。どうやら孤独な青年の体にナツの魂が入ってしまったらしい。
それから一年。ナツは寝起きだけ耳と尻尾がでる半猫人間。そんなナツでも大輔は可愛がってくれる。ナツは大輔とどうにか恋人になりたいのに、大輔はただ愛玩してくれるだけなのはナツに魅力がないからなのかな?と精一杯我慢してる大輔にはたまらん格好でアピールするナツ。
そんなジリジリした日々のなか、黒猫のナツを殺した犯人を突き止めて。
無垢なナツが可愛い!
周りの人間にはなにを今更というくらいにラブラブに見える二人だけど、まだ結ばれてない!
まあそのへんのやりとりとかはさすがに面白いしよかったのですが、私的には体の持ち主の蒼空くんのことを少し書いてあげられたらと思います。天涯孤独になって死にたいと思っていたらしいとはいえ、何か接点エピでもあればなあと。大輔とナツのラブラブも可愛いけど、その背景を刑事の浅野さん使って納得説明されているけど、いまいちしっくりできませんでした。
それ以外はニヤニヤして読めました。
今日の一作vol.357 天使たちの課外活動6テオの秘密のレストラン┅待ち遠しい!
天使たちの課外活動6-テオの秘密のレストラン (C・NOVELSファンタジア)
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一連のシリーズ最新刊。
やっと出たと思いきややっぱり一冊では終わらない!早く続きを!
ファンなら誰もが思うでしょ!
ということで、
またデルフィニア戦記から読み返し始めてしまいました。
何冊あるのでしょう。
いまはクラッシュ·ブレイズの途中。何度読んでも面白い。それに、前に読んだときにはあまり好きではない巻も、今読むと何か全然違うところで面白いと思う。
こんな中毒性のある話はずるい(笑)!
全く読んだことないという方には長いけど是非是非デルフィニアから!
読後の爽快感とスケールの大きさはスターウォーズよりも、私はこちらのシリーズを
推し推しです
目が見えてほんが読める年まで何度でも読むつもりです!
今日の一作vol. 356 心を半分残したままでいる┅何度でも好きになる
静良井は記憶障害をおこしやすく、日々の日記が頼り。それもここ数年分しかなく、過去がまるでわからない。それでも好みは変わらないらしく、趣味のカフェ巡りから、立ち寄った高台の喫茶『カナリー』のオリジナルブレンドが好みで、足しげく通う。マスターはまだ若く男前なのに無愛想な中上衛という。ある日些細なことから中上と親しくなり、静良井の事情を打ち明けると、日記にある恋人Mを共に探すことに。
中上と共に日記に書かれている場所を巡るうちに、静良井は中上を好きになる。そういえば中上もMである。ひっかかりを覚えつつも、過去より今を大切にしたいと、中上と愛し合う。
そして仕事のためにと別れて帰る途中歩道橋で足を滑らせ、また記憶をなくしてしまい、いつも首にかけていたUSB は中上の所に置き忘れていてまっさら。捜索願いがだされていたらしくMかもしれない久遠の元へ引き取られ、また新たな記憶を上書きしていくことに。
それでもまた『カナリー』を見つけ通い出すが、中上は何も言わす静良井を迎える。
結論からいえば、人の好みは変わらないということでしょうか。
すべて知ってる中上。でも過去を話して聞かせても思い出すこともなく、思い出せないことで傷つけるだけだとしってるから、今が幸せならと見守るだけの中上。
日記のMが自分のことだとは知らなかった(静良井が日記をつけていたこともしらなかった)から、てっきり久遠のことだろうとM探しを一緒にしてたわけだけど、久遠は久遠で、学生時代からの日記の都合のわるいところは隠して自分がMだと見せかけていた。
静良井は久遠も好きには違いなかったが、それでも、恋するのは中上だけ。
過去の手掛かりを久遠に教えてもらい、探しあて、自分が誰なのかを知り、中上が誰なのかを知り、やはり中上がMだとわかり、今現在を共に生きようと決意する。
まあずっと静良井を好きでいてくれた中上も凄いけど、それもまた中上の家庭環境からの静良井への愛なので、運命の恋人同士といえますね。
3巻まとめて読もうと思って、全部そろうまで我慢しました。一気に読むことオススメします。
記憶障害の話は後味の良いものにしてほしいです。この話は80点くらい。静良井が受け入れすぎというか、記憶障害に慣れすぎというか、もう少し苦悩面を書いてあると同調できたのかな。興味深い話だけど、主人公たちに、ああ良かったね、とラストで心からは言ってあげられなかったので。
ベテランの砂原さんなら、と期待が大きかったのもありますか。
読後感は良かったですよ。ホンと。