ゆかのんかズよみごと!!

読んだこと見たことを思い出したらお知らせします。

今日の一作vol. 367 青春は探花を志す┅結局やりたくないけど間諜やってしまう

 

青春は探花を志す 金椛国春秋 (角川文庫)

青春は探花を志す 金椛国春秋 (角川文庫)

 

やっと星家をたてなおし、本来の姿で生きられるようになった遊圭。国士太学へと進むが、身分の上下はないはずの太学でもやはり出る杭は打たれる。

遊圭の初めての友、尤仁は地方の良人の身分ながらも優秀で、様々ないじめにあう。

それが許せない遊圭は、首席の劉宝生ら一門の不正を暴くことに。

 

根が真っ直ぐな遊圭は色々鍛えられてきたとはいえ、やはりまだまだ若い。

後宮生活や異国への旅など、これでもかと苦難を乗り越えたにしても、まだ、玄月などの画策には負ける。今回もやっちまった。

まあ流刑とはいえ、結局ルーシャンのところへ行くことになって、たぶん次も色々ギリギリなところて、生き延びて、国の危機を解決することになっちゃうのだろうな。

ページをめくるたびに話が展開していくので、じっくりゆっくり読まなきゃ見逃しちゃうシーンもあって、大変です。

次巻も楽しみです。

 

 

 

 

今日の一作vol. 366 覇狼王の后┅立場や外見より心根を愛されていることこそが一番欲しいこと

 

覇狼王の后 上 (プラチナ文庫)

覇狼王の后 上 (プラチナ文庫)

 
覇狼王の后 下 (プラチナ文庫)

覇狼王の后 下 (プラチナ文庫)

 

 

両性具有であることで、幼い頃母親に化け物と疎まれて地方の神殿に預けられたアリーシェ。自分は醜い化け物なのだからと思い込み、せめて養育してくれた神官ニコラウスと共に神官として民の為に奉仕していた。

アリーシェのいる国ソルグランツは隣国アヴェルナに侵略され、地方は無法地帯になっていた。アヴェルナ兵や賊による略奪が横行し、流民が神殿へと助けを求めてくる。

ある日アリーシェは一人の傭兵が倒れているのを見つけ介抱する。彼ヴォルフはこの国では魔と恐れられる紫の瞳をしていた。だがアリーシェは分け隔てなくヴォルフを扱い、ヴォルフはそんなアリーシェを女神のような美しさと共に愛するように。

やがて回復したヴォルフはアヴェルナ兵に襲われていた神殿からアリーシェたちを助け、アリーシェに自分の后になれと連れていく。なんと彼は今は傀儡の国王リヒャルトの兄王子だったのだ。そのままアリーシェはヴォルフに体を開かれ、両性であることさえも愛しいと執愛する。

ヴォルフはアリーシェだけいればいいというが、王子であり、傭兵として名をしられている彼に、アヴェルナ軍と戦う解放軍の指揮をとって祖国奪還してほしいとちりぢりになっていた残兵や地方領主たちから求められる。

ヴォルフはアリーシェの為に国を獲ることを決めて挙兵するが。

 

宮緒さんの粘着度高い執着愛はもちろん基本なんですが、布石がすごくきいていて、上下だけなのに5冊くらい読んだような満足感です。アリーシェの母親からの虐待による自分の体への忌避。ヴォルフの悪魔と怯えられ、自分の力しか信じない生き方をアリーシェに覆され、アリーシェを猛愛することへの心情。部下の思惑、敵王子の立場。すべてが絡まりあって面白いです。

エッチは18禁なみのなのですが、それ以外は普通にファンタジー作品でもよいかと。

一つ残念なのは、アヴェルナからの執政官のメルヒオール王子。アリーシェを好きになったのもわかるし、ヴォルフの后だとわかったから対応を考えるのもわかるのだけど、人質にするこたもせず、アリーシェをほっといて、逃げ出したらまたもたばかったのか、とかよくその辺がどういう思考からそういうことになったのかが、ちゃんとした言葉でかかれてなかったので、惜しいです。

 

ラストのまとめは、ニヤニヤしてしまいました。

ラブラブですな。

今日の一作vol. 365 月を食べて恋をする┅ずっと君を想い君を護り君と一緒に月を見たい

 

月を食べて恋をする (Splush文庫)

月を食べて恋をする (Splush文庫)

 

大学生の恵多は3年前に父を亡くしてからは叔父の章介と暮らしている。父の事故の知らせの後恵多も倒れて頭を打ったらしく一部記憶が抜けている。そんな中、恵多は夢で同性の恋人と風呂に入っているところを良く見ていた。それは過去のことなのか?そんな夢のせいもあるのか、恵多は章介を密かに想う。でも章介は日替わりで女性の気配をさせて帰ってくる。望みなどないし、叔父なのだからと、気持ちを押し込める。けれど、恵多は後遺症のように、発作を起こしてしまうことがあり、章介は過保護なほど恵多の生活管理をする。

想いも叶わずそれでも構われることに反発をするが、やはり頼りにするしかない。

そんなとき自分の恋人だったかも知れない須藤と会い、章介が父の死に関わっていたと聞かされて。

 

既刊「君といたい明日もいたい」の改訂版です。そちらも持っているので、読み比べてみました。全体的にスッキリとしてます。

前作では意味不明な心の声があったり水に対しての発作の原因がいまいちつかめなかったのですが、最初にその点を夢ではっきりさせてくれたので、わかりやすかったです。

月食の約束もラストでぴしりとはまりました。

記憶障害の中で、章介は恵多のすべてを護りたいとあえて恋人だったことをふせていたわけですね。でも須藤が出てきた時にはすっぱりと明かしたほうがよかったよねー。といってもそこが話のミソなので、仕方ないですが、読み直してまた須藤にムカついてます。

あとは、前作のイラスト、あじみねさんのイラストは恵多が色っぽいですね。小山田さんの恵多は年よりも幼い感じですし、章介も叔父さん感があって3年前に恋人なんて、犯罪ですねという感じバリバリです。

あじみねさんのイラストもすごく好きですけど、今回は表紙の素晴らしさに圧巻です。

 

 

 

今日の一作vol. 364 眠りの杜の片想い┅自身の真価は周りの人々が知っているから安心して可愛い寝顔を見せてください

 

眠りの杜の片想い (ディアプラス文庫)

眠りの杜の片想い (ディアプラス文庫)

 

代々降霊術により地域一帯を災害などから護っていた森谷の家に生まれた値賀は姉の有賀とは違い霊能力はなく、しかも1日10時間は寝ないと体調を崩すロングスリーパーだった。性格はいたって真面目でのんびりなのに顔立ちは整い過ぎて近寄り難い。大学はなんとか卒業したが、就職はできずに実家に戻り、たまに祈祷を姉の代わりにおこなったりしていた。

その日祈祷に行った先で、値賀は好みの男性と出会う。彼、紀州は土地調査のために東京から来ていた。緊張のために素っ気ない態度しかできずに値賀は落ち込むが、後日また会った紀州はそんな値賀のことを優しく受け止めてくれた。そして3週間だけだが、紀州のもとでバイトをすることに。叶うことは諦めていたが、一緒にいられることが嬉しかった。

有賀は視ることができるが値賀は憑かれやすく、たまに落ち込んでいると憑いてくる。実は紀州に初めて会ったあと、ずっと若い男が値賀についているという。

紀州が東京に帰る時に告白したが、やはり忘れられない人がいると言われる。

紀州が帰ったあと、値賀は夢で若い男が何か言ってきているのをみた。

直感で、彼が紀州の恋人で、自分に憑いている人だとわかった。

いてもたってもいられず値賀は紀州に会いに行くことを決める。そして、、

 

冷静に話のベースは怖いのですが、値賀の可愛らしさに、なんだかこんなもんよね、と受け入れてしまいます。

何が怖いかはまあ、読んでみて。

ロングスリーパーは体質と言われても、そりゃ悩むよね。

自分には何もできない。って。

これが、家族がいいんだよーって受け入れてくれてるから値賀も良い子でいられたけど、もし他の作家さんだったら、家族から迫害されて飛び出して散々悲惨な目にあって紀州さんに拾われるというパターンになるかなー。

それくらい危うい体質ですねー。

この家族みたいにあっけらかんと霊に対してたら、霊のほうもなんだよーってどっかいくよねー。

憑いてた紀州の恋人の原口も、死んでから、自分のこと馬鹿だよねーって言ってるけど、本当に生きてるうちに、やりたいことやったほうがいいよ。

値賀ちゃんみたいに素直になろう!

何だかほっとする話でした。

 

 

 

今日の一作vol. 363 将軍様は婚活中·将軍様は新婚中┅大型ワンコが愛玩動物を舐めまわしてます!!(笑)

 

将軍様は婚活中 (リンクスロマンス)

将軍様は婚活中 (リンクスロマンス)

 
将軍様は新婚中 (リンクスロマンス)

将軍様は新婚中 (リンクスロマンス)

 

クシアラータ国は一妻多夫の国で女性が跡を継ぐため、有望な男性には山のように縁談話がきて迫られる。

ウェルナード=ヒュルケン将軍は正に有望株の1人だが、無口で謎な性格で女性たちから逃げ回っていた。

フィリオ=キトは父であるルキニ侯爵の使いの途中、風に飛ばされた書類を追って城の奥庭でベルと名乗る男性に出会う。彼は無口ながらどこか放っておけないところがあり、時間が合えばお昼を共に過ごすように。

かつて歌唱隊の愛し子と言われたフィリオは、自分の外見が貧弱なので軍人らしく逞しいベルに憧れ、またらしくなく懐いてくるところは可愛いとすら思っていた。

一方ベル、つまり将軍は友でもある第三王子のインベルグ王子の入知恵もありフィリオと結婚を決意。外国人である将軍に、結婚をして国籍を持たせたいと画策する国王たちにとってはまたとない機会。

フィリオは将軍がベルだとは知らないうちに、仮婚へと突入するのだが、将軍を邪魔に思う一派が狙ってきて。

 

登場人物のそれぞれがキャラ立ちしてて、面白い。

フィリオのふわふわした可愛いらしさと芯の通ったところが、ベル·将軍の武骨でワンコなところと重なり、読んでて思わず微笑んでしまいます。

ベルの見えないしっぽがブンブン振られている!

可愛いご主人さまを守って誉めてもらったら舐めまわそう!なんて心の声が聞こえそう!

 

婚活中ではベルがフィリオと結婚するまで、唾つけて、待て、のままでいる状態。

新婚中では結婚式あげて初夜すませて戦いに出ていくけどさっさと方つけて帰ってくるという話。

簡単にはそうだけど、周りの人々の思いやフィリオとベルのやり取りに誠実さがあり、何気ない話だけど、ゆっくり沁みる。

 

今度インベルグ王子の話を読みたいな。

バタバタがありそうで。

その時でもこの二人はイチャイチャしてそうだけど。

今日の一作vol. 362 隻眼の騎士と癒しの花嫁┅異世界に跳ばされたと思ったら··皆自分の居場所を求めてる

 

隻眼の騎士と癒しの花嫁 (幻冬舎ルチル文庫)

隻眼の騎士と癒しの花嫁 (幻冬舎ルチル文庫)

 

ある力のせいで家族からも避けられていた真名。ある日いきなり見知らぬ森の中に。森をさまよっていると隻眼の騎士に出会い、彼ジークフォードの矢傷に手を触れた途端眩い光に包まれ気を失う。

目覚めるとジークフォードに助けられ王城に連れてこられていた。

ジークフォードは近衛兵団の団長で、真名に触れられて傷は治り恩人だといって真名を保護してくれた。

真名は行く場所もなく、元の世界に戻れても自分の居場所はないと、ジークフォードの側にいられることを喜んだ。

実は真名を呼び寄せたのはジークフォードが呪い師に頼んだからで、彼の弟王リディアの病を治してもらえたらと、期待したからだった。

真名の力は正しく癒しの力なのか。

庶子であるジークフォードを国王にしようとする勢力に真名は邪魔者とみなされて。

 

異世界召還もの。でも実は元いた世界だったという。

幻獣のユノの可愛さにほだされました。

真名になついていたフェレットのような子ですが、真名の原生のようなもので。

そのへんのことは読んでみないとなので、単純な感想としては、可もなく不可もなく。

似たような話は今いーっばいあるので、あげればきりないですが、それらよりは基本に忠実なファンタジーかな。

BL で異世界いくとまあ大抵王子や王様とくっつきますよねー。

もしくは凌辱されたり生け贄にされたり。

そういうハードなのは、そうとう話が上手い人の作品しか読みたくないですね。

今回の話は争い事の動きや人物がやや曖昧で、主要人物が話を進めているので、地味というか面白さがやや欠けていた。

あとはジークフォードが隻眼になる理由があまり納得できることではないので、あえて隻眼にしなくても。

勢力争いのなかでリディアを守ろうとして受けた傷でとか、そのせいで反リディア派とかを退かせられたとかなら良かったのに。

そういう細かなエピソードが緩い気がする。

中々に癒しの力とかの設定は面白かったので、ちょっともったいない。

キュッ、とユノが鳴くのが好きです。

 

 

今日の一作vol. 361 緑土なす┅神の理と愛とが成せる

 

緑土なす 黄金の王と杖と灰色狼

緑土なす 黄金の王と杖と灰色狼

 
緑土なす きみ抱きて大地に還る

緑土なす きみ抱きて大地に還る

 

ラセイヌ国の最後の今世王レシェイヌ。大地を豊かにする力を持つ一族。王族しか愛せないこの一族は近親婚により数をへらし、王族しかかからない病に倒れ、レシェイヌのみとなり、その孤独に国土も陰りをみせていた。レシェイヌは自分亡きあとは大臣らに任せられるよう準備し始めるが、そんな折り、先代の王の庶子が三十年以上前に行方不明になり、生死も定かではないと教えられる。

当時も探したが、一縷の望みをかけて国中に捜索の手をのばしてはと言われて、さほど期待もせずに、三十代後半の男子は王宮に上がり、レシェイヌと謁見するようにと御触れをだした。

国中の男子が順に王宮にあがることとなり、山奥で暮らしていた足弱も行くことに。

足弱は山奥で老人と暮らしていたが、老人が亡くなってからは1人で薬草を売ったりなどしていた。右足が曲がっていたので足弱と言われて育ち、他の縁者などはいないと思っていた。

長い旅の末、やっと着いた王宮で王に謁見をすると、王が足弱に興味を示す。

そして次の日には帰るはずが、足弱は呼びとめられ王のもとへ。

足弱は王レシェイヌの兄庶子ラフォスエヌなのだという。

急なことに怯えるだけの足弱にレシェイヌは兄上と呼び独りで淋しかったと慕ってくる。

そして少しずつ慣れたかと思うころ、一族を愛する思いを押さえきれずにレシェイヌは足弱を襲ってしまう。

倫理に反することと教えられてきた足弱にはレシェイヌの愛情は恐怖でしかないが、王族を守ってきた一族·灰色狼たちの諭しや懇願に、またレシェイヌの孤独と愛情に次第に心を開いていく。

 

二巻続けて読まないとなりません。

只々足弱が可哀想で。

だからレシェイヌにも狼たちにも愛されてください!

いいんですよ、もっと欲深くて!

と読みながら声援を送ってしまうんです!

神の域の力があるのだから、多分望めば子どももできるでしょうね。

でもその後子どももまた独りになったらと思うと、産めない気もする。

いやいや、まだ二人は新婚さんだし、愛し合う度に奇跡がおきて、大地が緑豊かになるのだから、この国の緑の息吹き全てが子どもたちのようなものだよね。

なんだかんだ揉めますが、まとまります。

その辺は読んで欲しい展開です。

 

一年経ってやっと手にいれました。

ずーっと読みたいなあーと気になっていた話なので、満足いく話、終わり方でよかったです。

やおいで終わったらどうしようと。

(やおい、というのは山なし落ちなし意味なしということで、BLのなかでただやってるだけの話です。近頃使い方間違えてる方多いです)

 

設定しっかりしてるし、場面転換してレシェイヌ側からや足弱側からなど無理なくよく分かる話運びで、上手いです。

新作がでたら読みたいです!