ゆかのんかズよみごと!!

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今日の一作vol.142 狡い男…逃げるための狡さ傷つけないための狡さ

狡い男 (上) (幻冬舎ルチル文庫)

狡い男 (上) (幻冬舎ルチル文庫)

狡い男 (下) (幻冬舎ルチル文庫)

狡い男 (下) (幻冬舎ルチル文庫)

子供の頃に母親は男と家を出て行き、父親と寂しく暮らしてきた日下。病気で父親も一年前に他界し、自棄のようにゲイバーに行きそこで満木という日下の好みと真反対の男に出会う。酔って家にまで送ってもらってから満木はなんだかんだと日下を口説きにかかる。
勝手に合い鍵まで作って上がりこんでは料理をしたりと図々しい。
日下はランボルギーニを買ってくれたら付き合うとつっぱねるが、ある日とうとう本当に買ってきて、ヤられてしまう。
誰ともつきあったことのない日下は快楽に弱く段々と体も慣れてはきたが、満木が何故自分なんかを抱くのかわからないし、つくしてくるのは勝手にやってることだからと本気にとってはいなかった。
そんなある日満木の友人の野津という男を会うが、彼はとても綺麗で日下の好み。こんな人とつきあいたいと思う傍ら、2人の親しい様子にもやっとしたものを感じて。


上下巻で短編からなる話なんですが、不覚にも泣いてしまいました。
日下の人を信じられない、寂しくても素直に甘えられない性格が、自己防衛なので、満木を好きでも自分自身を信じられないし、いくら好きだといわれても信じられない。
読んでて痛々しくて満木もっと理解してやれよと思いましたよ。
しかも最初は好きでつきまとっていたわけじゃなく、義理の兄だから見ていられなくてという。
だったら最初から名乗れよ!
騙してて、その内に好きになったから本格的に口説いてって日下じゃなくても怒るわ!
野津が間に入って、我が儘で毒舌ながらも日下のことわかってくれて、満木を好きになったなら信じていいんだよと後押ししてくれて良かった。
母親のことを許してはいるけど、忘れられるわけじゃない。ていうのが、辛いですね。
日下はいっぱい傷ついててどこが痛いのかもうわからない状態だから、満木のむさ苦しい愛でゆっくり治してあげてほしい。
最後のショートで大分落ち着いている様子で書かれてたけど、一生包んであげてほしい。

弟の秀くんと日下の取り合いしてもいいかも。
とにかく読んで正解でした。