ゆかのんかズよみごと!!

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今日の一作vol.173 禍と一つ屋根の下で…人でなくとも愛情は

禍と一つ屋根の下で (ガッシュ文庫)

禍と一つ屋根の下で (ガッシュ文庫)

ゲイであるからこそこのまま一緒にいたいと思った恋人に突然別れを告げられ命を絶とうとしていた怪奇作家の了則は、その日肉吸いという物の怪・禍に声をかけられ、死ぬ気を無くし、契約を交わして共に暮らし始める。
餌として精を与え、了則は性欲処理もでき、また昔から家に入りこんだり了則に付いて来る小さな物の怪を払ったりしてもらうおかげで3年の月日が過ぎてもお互いに持ちつ持たれつの仲になっている。
1年ほど前からは雪女の妖怪小吹雪も住み着き、また高校時代の友人真治とも10年ぶりに再会し、孤独だった了則も温もりを覚える。
これはやはり禍との出会いから。
物の怪とはいえ肌を合わすと情も湧く。次第に惹かれていくが、やはり認めるには怖くて。


水原さんの作品にしてはほのぼのした作品です。(^0^;)
禍も人間に化けて、もうすっかり板について、美貌の芸術家風情ですし、半化けと自分で言っている、その半化けになった話も、悲恋で凄くよかった。
了則が作家で、作中話が挟まるのは必要だし。
下手な話が挟まると台無しだけど、これは良かった。
本当に水原さんにしては、コミカルなんで、どうしたんだと読み始めはおもいましたが、了則が自戒するところはやはり水原さん。
最後は皆実は縁があった者ばかり?というかんじで終わるのがまたよいとラストだと思いました。
もうちょっと禍のほうからの視点も読みたかったかな。