ゆかのんかズよみごと!!

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今日の一作vol.258 神さまのビオトープ…世の中は秘密だらけで、みんな好きに生きていい。

神さまのビオトープ (講談社タイガ)

神さまのビオトープ (講談社タイガ)

うる波の夫「鹿野くん」は結婚二年目にして事故死した。お葬式が済んでうる波一人になったら、なんと鹿野くんがいつものようにそこにいる。ショックで自分がおかしくなったのかと思ったが、鹿野くんは自分か死んだこともわかっているという。つまりは幽霊だ。それからうる波は鹿野くんと一緒に暮らす。鹿野くんは煙草も吸うし、ご飯も食べる。画家なので描き掛けの絵もかく。減りもしないし完成もしないけれど。
彼のことは秘密にしていたが、大学の後輩に知られてしまい。

うる波と鹿野くんの出会う人々との話を四編収録。


さすが凪良さん。
元々はBL書きではありますが、それだけでは済まない力量です。
木原さんや榎本さんにつぐ作家さんだと思います。

救済の話だと帯などに書かれてますが、わたしはそうだとは思いません。
世界の決めた常識という「正しさ」とは外れてしまった人々の選択。
それはそれぞれがきめることで、うる波と鹿野くんがその人々にかかわってはいるけど、道を示した訳でもなく。
ただ淡々と、そしてうる波は鹿野くんとずっと暮らしていくことがただの幸せなんだと言ってるだけ。
自分の幸せと他人の幸せは交わらない。
なにも救済とは思えない。
あとがきも何もないので、編集さんがつけたキャッチなのかはわかりませんが。

話はとても沁みます。