ゆかのんかズよみごと!!

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今日の一作vol.314 恋の花咲く…本当の恋をしたことない同士の不器用恋愛。すれ違いを細やかに書いているとみるか噛み砕きすぎて苛立ち煽りすぎとみるか。

恋の花咲く (幻冬舎ルチル文庫)

恋の花咲く (幻冬舎ルチル文庫)

版画家の伊織は酔った勢いで、顔見知りだが苦手な相手である駒澤と一夜を共にしてしまう。
記憶は曖昧だが自分から誘った形だったのは思い出し、逃げる。
駒澤はあらゆる手を使い伊織を捕まえ、恋人になったのだから付き合うんだとまるめこむ。
伊織は母に捨てられた生い立ちから、結婚はしない、仕事の邪魔をしたらすぐ別れるという条件のもとつきあい始める女たらしとして有名で、駒澤との一夜の前に別れたと自分では思っていた女につきまとわれて困っていた。
駒澤にそのトラブルを解決してもらったり、意外にも一緒にいて楽なことに気付いたりと、次第に伊織は心を開いていくが。

伊織の周りにはいっぱい手を差し伸べてくれる人はいるのに、子どもの頃からその容姿とともに悪目立ちしていた伊織は素直にそれに甘えられない。
そして駒澤も感情というのが一部欠落したような人間。
その二人が関係を持ったことで、変化していく。
その過程がすんごく細かに書かれていて、逐一納得はするけれど、そこまではいらないと思う。
伊織の女からの逃げもイライラする。
二股されてそれを持ち出したくはなくて逃げるだけにしてるとか、誰の為にもならない。
どうして伊織がそうしたのかは書かれてはいるけど、そんなに共感できる理由じゃないし。
しかも椎崎さんの追い詰めはいつも辛いことが多いので、手放しでラスト良かった、とは思えない。
お話は良いのにね。