ゆかのんかズよみごと!!

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今日の一作vol.320 さよならガラスの恋心…過去より明日。一歩踏み出せば何かが変わる

小さな島で生まれ親兄弟からも相手にされず育った夏季。内気で自信もない。
そんな夏季だがつきあって一年になる美樹本という恋人がいる。彼に嫌われないよう気を張り詰める夏季だが、忙しいのかあまり会いに来てくれない。
過去のトラウマから体調が悪いとパニック障害を起こしてしまう夏季は、このところ頭がぼんやりすることも多く、気をつけてはいるが、働いている定食屋の常連で美樹本の同僚でもある副島に色々と気を使ってもらい家まで送ってもらったりした。恋人の美樹本といるより副島といるほうが落ち着くようになり、困惑しているとき、街で偶然美樹本に会う。しかしその美樹本はいつも家に来てくれる彼とは違う人間のようで、言われたことも覚えのないことばかり。自分は何かおかしいのではと、副島に問うと思い出さなくていいと言われ。

漁師の家で華奢な夏季。家族にも役立たずと言われ唯一料理でみんなが食べてくれることが嬉しかったという。
そんな夏季だから副島のように怖い顔でも美味しいといってくれて、優しく包まれたらそりゃあ嬉しいよね。
島での初恋といえるのか、ただ初めて優しくしてくれたから好きになったというだけの男に酷く振られ、それがもとで島から出なくちゃならなくなったし、対人恐怖症にもなっちまった。
そしてまた美樹本という顔だけの男にひっかかる。
こういう必要とされたい人間はダメな人間にひっかかりやすいので要注意ですな。
まあそれでもひねくれずに真面目に生きてきたからこそ副島という当たりをひいたわけで。
生まれてきて良かったと言える恋ができてよかった。
誰にでも今一歩出さなくちゃという時があるけど、夏季がそれを間違えずに踏み出せてよかったです。