今日の一作vol. 364 眠りの杜の片想い┅自身の真価は周りの人々が知っているから安心して可愛い寝顔を見せてください
代々降霊術により地域一帯を災害などから護っていた森谷の家に生まれた値賀は姉の有賀とは違い霊能力はなく、しかも1日10時間は寝ないと体調を崩すロングスリーパーだった。性格はいたって真面目でのんびりなのに顔立ちは整い過ぎて近寄り難い。大学はなんとか卒業したが、就職はできずに実家に戻り、たまに祈祷を姉の代わりにおこなったりしていた。
その日祈祷に行った先で、値賀は好みの男性と出会う。彼、紀州は土地調査のために東京から来ていた。緊張のために素っ気ない態度しかできずに値賀は落ち込むが、後日また会った紀州はそんな値賀のことを優しく受け止めてくれた。そして3週間だけだが、紀州のもとでバイトをすることに。叶うことは諦めていたが、一緒にいられることが嬉しかった。
有賀は視ることができるが値賀は憑かれやすく、たまに落ち込んでいると憑いてくる。実は紀州に初めて会ったあと、ずっと若い男が値賀についているという。
紀州が東京に帰る時に告白したが、やはり忘れられない人がいると言われる。
紀州が帰ったあと、値賀は夢で若い男が何か言ってきているのをみた。
直感で、彼が紀州の恋人で、自分に憑いている人だとわかった。
いてもたってもいられず値賀は紀州に会いに行くことを決める。そして、、
冷静に話のベースは怖いのですが、値賀の可愛らしさに、なんだかこんなもんよね、と受け入れてしまいます。
何が怖いかはまあ、読んでみて。
ロングスリーパーは体質と言われても、そりゃ悩むよね。
自分には何もできない。って。
これが、家族がいいんだよーって受け入れてくれてるから値賀も良い子でいられたけど、もし他の作家さんだったら、家族から迫害されて飛び出して散々悲惨な目にあって紀州さんに拾われるというパターンになるかなー。
それくらい危うい体質ですねー。
この家族みたいにあっけらかんと霊に対してたら、霊のほうもなんだよーってどっかいくよねー。
憑いてた紀州の恋人の原口も、死んでから、自分のこと馬鹿だよねーって言ってるけど、本当に生きてるうちに、やりたいことやったほうがいいよ。
値賀ちゃんみたいに素直になろう!
何だかほっとする話でした。