ゆかのんかズよみごと!!

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今日の一作vol. 373 八月三日┅まとまりすぎて物足りない

 

八月三日 (プラチナ文庫)

八月三日 (プラチナ文庫)

 

介護士の一ノ瀬は高次脳機能障害を抱える人の有料施設で働くことになり、担当になった白崎和人という同じ年の青年に心ひかれる。

彼·白崎は大学2年の夏に交通事故にあい、重い高次脳機能障害を抱えることになってしまう。彼は記憶障害で、事故以前の記憶はあるものの、それ以降は14時間たつと記憶がリセットされてしまい、一ノ瀬は毎日その状況を説明し、彼がショックを受け苦悩するのを見守る日々。

少しでも彼が辛くないように、日記をつけるように提案したり、食べ物を工夫したりと色々してみる。

それでもやはり永遠に続くだろう同じ毎日の繰り返しに、自分の無力さを実感する。

そして彼が事故にあった八月三日が今年もやってきた。

その日出勤途中一ノ瀬は暴走車にぶつけられてしまう。意識がうすれるなか、今自分が死んだら白崎はどうなるのか、と強く思ったせいなのか、気がつくと10年前の白崎の地元にいた。

すぐにその事実に気付き、もしかしたら白崎を救えるのではと、一ノ瀬は高校生の白崎に会いに行く。

 

 

とてもキレイにまとまっています。

時間移動のタイミングも、どうすれば白崎を事故にあわせないですむかとか、これが一度きりの一ノ瀬にとっても生死をかけた事態なこと。そして白崎を見守ってきた一ノ瀬が白崎に惹かれていくようすなど。

確かに上手いのですが、うまくいきすぎててちょっと物足りない。

もう少しハラハラしたいし、白崎の気持ちがあまり見えない。一ノ瀬のことを好きなんだろうなあと思える場面もあるけど、いまいちうわべだけの気持ちしかない。

私ひねくれているので、途中予想で、立場逆転するのかと思った。タイムスリップして白崎に忠告して白崎は事故にあわない。でも一ノ瀬は事故にあってる。死にはしないけど記憶障害に。看護士になった白崎と再会。新しい記憶はないけど、今までの記憶があるから一ノ瀬も白崎と生きていける。みたいな。

記憶がリセットされてしまう話、BL で二作ほど読みましたが、毎日恋におちるみたいな書き方をされてる話でそちらの印象が強すぎなんでしょうか。

 

この話は「君の名は」的な要素が多くて、万人には受けそうだけど、なんか一ノ瀬がひとりで頑張ってる気がして感情移入できませんでした。😥

お話は読みやすいしまとまってて上手いです。この先もっとパンチの効いた話を期待します。