ゆかのんかズよみごと!!

読んだこと見たことを思い出したらお知らせします。

今日の一作vol. 375 灰の月┅木原さんの真骨頂·痛くて辛くて一読しかできないけど。

 

灰の月 上 (ビーボーイノベルズ)

灰の月 上 (ビーボーイノベルズ)

 
灰の月 下 (ビーボーイノベルズ)

灰の月 下 (ビーボーイノベルズ)

 

本橋組組長の息子·惣一は大学も出たインテリヤクザ。5年前に敵に襲われ凌辱されたトラウマで一人きりでいることができない。それと同時に押し込め気づかないようにしていた自分の性癖も暴かれてしまう。

一人になれないので、自慰行為もボディガードの嘉藤が見ている前で行う。ある日出先で道具を忘れ、代わりとして嘉藤自身をねだると、彼は命令に従って惣一を抱く。あまりの快感と恋人のような扱いに、もう一度とねだると、自分は女のほうがいいと拒絶される。

そして男を手配しますと言われ、惣一は惚れた男に見られながらも買った男らに抱かれて快感を得る自分を唾棄しながら段々と壊れていく。

毎日のように男を呼ぶため醜聞は広まり、組長から嘉藤は、惣一から離れるよういわれる。

 

性癖こそ問題だったが、それ以外には心酔していた惣一と離れて2年。嘉藤は、組長が倒れ惣一を支えるために戻る。

久しぶりに会う惣一は以前の冷徹でカリスマ性のある人物になっていた。采配は素晴らしく、理想のボスの姿に、嘉藤は跡目を継がせるために躍起になるが、惣一は嘉藤に譲ると降りようとする。身内の裏切りがわかり、惣一も嘉藤も狙われ、嘉藤を庇い惣一は負傷、その時に惣一が胸を作っていたことがわかり、嘉藤はあまりの異質さに言葉を失う。それでも跡目を継ぐのは惣一と、療養中に惣一に一度だけと懇願されて嘉藤は惣一を抱く。

跡目を継ぎ、惣一の生み出す金に本橋組は注目を集めることに。惣一は狙われ組の抗争が激しくなる。そして遂に爆破事件が起こり惣一が行方不明に。嘉藤は必死に探すが┅

 

惣一が哀れです。

嘉藤は惣一の力量には惚れていたんだから、おとなしく最初から抱いてあげてればよかったのに。

嘉藤が悪い。

最終的には

惣一の昼の顔を保つために抱き続けなくてはならなくなったのだから。

出来る男のようで、3手先までは読めてない。惣一のこともわかってない。自分のこともどこまでの力量かを認めきれてない。

惣一は嘉藤好かれたいだけ。女だったら嘉藤に抱いてもらえるのにと、胸を作ってしまった。自分がヤクザの頭を続けられるほどの男ではない、ただの雌だとわかっていたからこそ嘉藤に跡目をと思ったのに、嘉藤が期待するから。

薬漬けにされて、見つけ出されたあと、後遺症でもう元のようにはならない。嘉藤のことはわかるのに。

もう組長に戻れるわけないのに嘉藤は惣一を手離すこともできず1人で惣一の面倒を見て暮らす。

惣一という蔓にからめとられて窒息しそうなのに、忘れられていない、忘れても教えてくれと言われて歓喜する。つまりは愛のひとつだといえるのでは。

 

本当に泥臭く痛いばかりの話ですけど、木原さんの話はちゃんと意味のある痛み、凌辱なので、読んでしまいます。

深いです。

こちらのほうが、スピンオフで、本編のほうも読んだんですけど、こちらのほうがらしくて好ましいです。決して好き、ではないですけど。