今日の一作vol.50 沙野ワールドにうっとり

Splush文庫　沙野風結子著
「閨盗賊」

困った。
面白い。
けどこの沙野不思議ワールドはクセになる。

厳格な継母に育てられたレンは日本人と英国との混血で疎まれていた。
ある日誘拐されその盗賊団のカイルの自由なさまに憧れを抱く。
数年後レンの前に現れたカイルはレンの貿易商のありように憎しみをもこめて対峙する。
その原因はレンの家の貿易商と綿密な関係の錬金術師が「金の根」なる人を操ることのできるものを使って人身売買をおこなっていたからだった。
レンはカイルにそれを埋め込むことで彼を自分の思うようにしたが。

ファンタジーなのかSFなのか、やはり沙野不思議ワールドです。
もとが継母による父の支配からなんですが、レンとカイルが惹かれ合う要素も潔癖なレンと自由なカイルとのお互いに憧れ合うことなので、必然的なのだね。
無駄のない伏線と無駄のない運びと無駄のないエッチ。
しかも小山田さんのイラストがぴったりの妖しさ。
ベテランの力量満載です。