ゆかのんかズよみごと!!

読んだこと見たことを思い出したらお知らせします。

今日の一作vol.328 千年恋空~ずっと好きな君へ…千年転生を続けるのも、それを待って出逢えてまた別れるのも辛い。

落ちこぼれの雷神・天は羊雲妖獣を眷属として、丁寧に雲を編み空を作る。
荒っぽい他の雷神や、召喚された先の人間たちにも馬鹿にされて落ち込むけど、力はない分綺麗な空を作ることを心掛けていた。
ある日天が召喚され、そこにいた頼久という天文博士は俺様な性格ながらも天を信じて、雨を降らすための雲を作るのに時間がかかるのに見守ってくれ、天の空を綺麗だと誉めてくれた。
共にいた二日間はとても楽しくずっと一緒に居たいなと思っていたら、なぜかともに旅をすることに。そして時がたち、頼久は寿命を迎えるが、一人になってしまう天に、生まれかわってまた会いにくると約束する。
その後百年ごとくらいに頼久は生まれ変わり、天に会うが、頼久のころの前世の記憶はなく、天はそのたびに苦しく思うが、会いにきてくれたことを喜び、そしてまた次の転生を待っていた。
そして千年。頼久の何回目かの生まれ変わりが料理人となり、店を開いた。虹色食堂には妖も常連客。そして生まれ変わりの仙助が養子としてやってきた。
今までは大人となった頃に天は出会ったが、今回は5歳児。天はいっぱい面倒みてやろうと思うが、仙助は男前で逆に天のほうが面倒みられたり。やはり記憶はないものの、二人はお互いに好きで仕方なくて。

手芸で空を作ったり、ドジで泣き虫な雷神なんてファンシーな始まりだったのに、段々と命のあり方や人間や自然に対する批判らしきものも折り込まれ、かなり深い話だと思います。
天は頼久の生まれ変わりを延々見続け覚えられてないけど、それでも死に際にはいつもまた会いにくるという彼を待ち続けた。でも辛いわけないよねー。
そして仙助は自分が生まれ変わりだと言われても関係ない。とは言いつつ、徐々に記憶を取り戻していき、そして自分の成すべきことを見つけるわけで、それはそれは二人の気持ちの動きが事細かに書かれて、ややクドいとは思いましたが、よーく分かる。
ラスト千年の意味がわかるわけですが、ちょいご都合主義で終わったかな。
面白かったけど、似たような話を他の作家さんで読んだけど、そちらはお色気と切迫感がすごかったので、勢いで納得したおわりでした。
もう少し天と仙助の情熱というか、情動という生々しさが欲しかったかな。
ファンシーさがぬけないので、なんかなって。