ゆかのんかズよみごと!!

読んだこと見たことを思い出したらお知らせします。

今日の一作vol.187 憑くものの森…物の怪憑き同士、なんか濃いわー、ヘビーやわ~

憑くものの森 (ガッシュ文庫)

憑くものの森 (ガッシュ文庫)

私生児であり死んだ英国人の母を憑かせたまま、ひっそりと人目を避けて村はずれの古民家に画家として暮らすハルヲ。
ある日雨宿りをする鬼憑きの男・白井と出会い、なんとなく家にあげてしまう。
お互いに一人寂しく生きていてこの世ならざるモノに憑かれている同士なんとなく惹かれ合う。
そして鬼のせいでハルヲは捻挫をして白井が治るまで面倒みてくれることに。
しかしハルヲの義兄がきて、抱かれているのを見られ、開きかけてた心を閉ざす。
それでもオッドアイのせいか、ハルヲの描く絵は少し変わった色合いで、奇妙だけど好きだといってくれる白井に、やはり心はかたむく。
そして捻挫も完治し、お互いに母が鬼が憑くことになったことなどを語り合い、互いに求めあった。
それでも一緒にいることは出来なくて白井は元々の求人先へ行くことに。
そこへ白井を追って男たちがふみこんできて。

白井もハルヲを憑いてるものを認識してそれを排除することも出来ず、独りで生きていくしかない。
でもハルヲは自分で母を引き止めているわけで、白井に言われてやっと自分ひとりの力で生きて、誰のせいにもしないと思えることができて、よかったねー、母さんも安心して逝けるねー、と思ったら白井の鬼まで母さんが連れていってくれた。
母強し。
結局父も母を弄んだわけじゃなく、事情があって私生児扱いになったんだとわかって、めでたしですな。
鬼もいなくなり白井も晴れて堂々とハルヲと一緒にいられることになったし、ラストはスッキリ!
水原さんだから暗くジメジメした感じはいつも通りですけど、ラストスカッと終わったので、よりよかった。

いえその持ち味か好きなわけなんですけどね。水原さんのフアンですよちゃんと。ほぼ全ての作品読んでますから。

今日の一作vol.186 甘くない嘘をきみと…兄はツンデレ?いやヤンデレかな?

甘くない嘘をきみと (幻冬舎ルチル文庫)

甘くない嘘をきみと (幻冬舎ルチル文庫)

『甘い恋の手ざわり』の兄編。
向井沢頼は若手演技派俳優として注目されているが、5年前は顔だけと言われ悩んでいた。その頃舞台の仕事で一緒になった劇団員の鈴木涼一に演技指導をしてもらい、その舞台を転機に成功していく。そして鈴木に自分のマネージャーになってもらい、以後鈴木のスパルタながも頼の直情型の性格をうまくコントロールするやり方に慣れ、順調に仕事をこなしていく。
だが、頼の弟の恵が恋人を得、自分の中で気負っていたものがひとつ外れたような感じになる。
そして鈴木の様子もまた変わり、べったり一緒だったのにもう一人でも大丈夫だろうと急に距離をおくようになり、頼は落ち着かなくなり。

弟編のほうで出てきた頼は威張りちらして、あんまり好きではなかったけど、こちらが本編になって頼の立場をみてみると、なる程それは意地にもなるなと納得はしました。
でも好きかと言われるとこんな面倒くせー男は鈴木にいたぶられてるのが似合いだと思います。
仕事に対する姿勢はいいけど、理解しのばしてやれるのは鈴木だけ。
リバにもなれそうな2人の取っ組み合いは好みではないので。
でもお話は好きです。流れとか自然で劇中劇も面白そうな話ですし。

今日の一作vol.185 甘い恋の手ざわり…これも革フェチ。でもなんかエロいね革。

甘い恋の手ざわり (幻冬舎ルチル文庫)

甘い恋の手ざわり (幻冬舎ルチル文庫)

恵は革工房で働いていたが、工房は廃業。独り立ちしようにも資金がなく、母の知り合いだった高級クラブのママに誘われボーイとしてバイトをしていた。恵の浮き世離れした容貌や所作に好かれることもおおいご嫌われることもあった。
ある日客としてやってきた柏木が恵のつくったたばこケースを持っていた。つい嬉しくて柏木を気にしてしまったため、恵をよく思わないホステスから嵌められ、柏木のいるホテルまで行かされ、売りをしていると思われて抱かれてしまう。
忘れたいと思っていたが、柏木は逆に恵を気に入っているようで、恵の兄、頼が俳優をしていて、柏木の会社がドラマのスポンサーということもあり、ロケ先に連れて行ってもらったりと、連れ回される。
その中で柏木の会社で恵の革製品を扱ってもらえるチャンスをもらえ試作品作りにかかる。
その過程で柏木との関係や兄との関係にも変化が現れ。


ブラコンというのがキーです。
柏木が兄の頼に似ているところもあったり、兄との確執、恵からと頼からの視点など、実に分かりやすい。
そして革を目にして恵の変化かエロくていいです。
兄編もあるのですが、私は弟編のこっちが好きです。

今日の一作vol.184  軍神皇帝の寵花…中華風ファンタジーこれはいい!

軍神皇帝の寵花 (角川ルビー文庫)

軍神皇帝の寵花 (角川ルビー文庫)

光明の神の加護のもと、尽きることのない水をたたえる泉を守る一族、漣の長に育てられた予見の力を持つ伶藍。銀の髪に青い瞳という他の誰とも違う容姿ながら、綸国の前皇帝に懇願され次期皇帝の后に迎える約束もあり、幼い頃から女子として育てられ、成長し皇帝のもとへと嫁いだ。皇帝秀峰は伶藍の力のみに価値をみて、自身のことは化け物とまで言い遠ざけていた。
結婚後しばらくして伶藍は予見し、砂礫の国、隗国が攻めてくると告げた。
秀峰は平和の為ではなく、領土拡大のため兵を挙げるが、敗れ、綸国は隗国の属国となる。
隗国の皇帝・汪凱のものとなった伶藍は彼の中に軍神が宿っているのを視てとり、恐怖する。だが、汪凱本人は男でありながら后として綸国を守る伶藍にも屈託なく接し、抱く。
そんな汪凱に伶藍も心を溶かしていき。

こういうのを求めてたんです。。
前回の男の娘とのこの違い!いやふんわかした子が好みならそちらがいいでしょうが、私は意思を持った子が好きなんで。

こちらの男の娘の伶藍はやはり自分の立場というものをきちんと飲み込んでいて、神の生まれ変わりと言われ、伶藍自身をみてほしいと内心は思いつつも、国のためにと后になるわけで、そして汪凱も国の民がもっと潤いのある生活を送れるようにと領地を広げるため軍神を憑かせて戦をする。
二人は似たもの同士で、お互いに一人の人間同士で向き合って惹かれあった。
ドラマチックであり、普通の恋愛の基本というか、中身で勝負なのがよいです。

欲を言えば、汪凱の弟の汪羽が、良い役どころなのに、裏切りが発覚してすぐ消されたのが、もうひとつエピソードだけでも、結末はどうなったのか、汪羽の気持ちを汪凱はちゃんと知っていたのかを書かれてるとよかったかな。
伶藍に焼き餅やいておわり的なものでなく。そこが不満かな。
恋愛話には必要ないかもだけど、綺麗に終わりすぎるので。
モブも生かしてほしい。

今日の一作vol.183 三日月姫の婚姻…ロリ、いやショタ。無垢な男の娘は罪ですな

三日月姫の婚姻 (ショコラ文庫)

三日月姫の婚姻 (ショコラ文庫)

日本画の大家を祖父にもつ冬姫は男でありながら、女として届けをだされ、学校もほとんど行かずに17才の今は家の中で、たまに祖父の絵のモデルをして暮らしていた。男とバレてはならない。
その訳は冬姫の母親が病弱ながら1人の男性と出会い身ごもり、自殺行為と言われながら冬姫を産んだこと。
そして、相手方の久慈家は資産家で、父親は跡継ぎ。男子を産んだとなれば、のちのち後継者争いに巻き込まれる。それを避けるためでもあった。
そして母は4才のときに、そして父もまもなく亡くなっていたらしい。
そして祖父は孫の冬姫には厳しく、些細なことでも怒り手をあげることも。
そんなある日、庭で冬姫は久慈貴仁という画廊を営む青年に会う。
彼は冬姫の母の葬儀の日に同じく庭であった青年だった。そして貴仁は冬姫に結婚を申し込んできたが。


もっとドロドロしてるかと思ったら、なんだかあっさり形がついたので、肩すかし感がたっぷりです。
冬姫が何も知らないのが可哀想な感じなんでしょうが、自分でも自己嫌悪してるけど、逃げ出そうとすれば監禁されてるわけでもないのだからどうにでもなる訳で、イライラする場面も。
そして貴仁も、4才の時の冬姫を見て13年会ってなくて、一応母親そっくりだから美人なのは想像できてたし、心の寄りどころだから、再会してすぐプロポーズしたんだろうけど!
イケメンでなきゃ怪しい人ですよ。
あらすじは興味深いけど、結局男とバレたってたいしたことないんだし、読み終わってなんでこんなにこの人達は悩んでいるのかと思った。
笠井さんのイラストで助かってるかも。

今日の一作vol.182 ロマンスの鐘が鳴る…絶対鳴ってほしい

ロマンスの鐘が鳴る (ショコラ文庫)

ロマンスの鐘が鳴る (ショコラ文庫)

会社員の江見は、バレーをしていたこともありいい身体にそこそこな顔。それなりにモテて遊んでもいた。だがある日買ったエロ本の付録が破りとられていたことに文句を言うべく書店に踏み込んだが、そこの店員・山口を見た瞬間に頭の中で鐘が鳴り響き世界が薔薇色に染まった。なんと男に一目惚れ。
悩んだあげく、ゲイ専用のSNSで相談をもちかける。
そしてその相談に乗ることになったのが、誰あろう山口だった。
山口は元々ゲイで、セクハラクレーム野郎、つまり江見のことてのストレスを発散しようと、SNSに久しぶりにログインしたがまさかその当人だとは知らずに江見の相談を受けることに。
知らぬは当人ばかりなりだが、段々と実際の関係でもやや進展していくようになり。


テンポよく面白かったです。
本人とは知らずに相談するというのはよくあるけど、うまくSNSの危険性も加味しながら書かれてると思う。
あと山口のトラウマとか、お互い遊んできた中、まともな恋愛をすることの大変さとか、楽しさとか、実感してるのがよいです。
エッチもやらしさがあって、うまい。
すんなり絵が浮かぶからスイスイ読める。
新人さんということだけど、かなり書いてると思うけど。
今後も期待です。

今日の一作vol.181 溺愛ボイスと桃の誘惑…フェチ同士の恋愛探り合い

溺愛ボイスと桃の誘惑 (幻冬舎ルチル文庫)

溺愛ボイスと桃の誘惑 (幻冬舎ルチル文庫)

休筆中の人気作家・喜多川は小尻フェチ。家の立派な庭が荒れ放題なのを見かねて旧知の編集楠木が植木屋を手配してくれた。その植木屋の職人の一人、貴悠の尻を見た途端に喜多川は理想の小尻とむしゃぶりつく。
一方貴悠は声フェチ。好みの声でイケてしまうくらい。そして喜多川に押し倒された時に聞いた声はまさに好みのイケボイス。でもゲイだと知られたくない為に、喜多川を避けまくる。
喜多川、もしかして初恋かもと尻だけでなく貴悠をものにすると押しまくるが。


楽しかった!
ちょっと世間とはずれている喜多川と過去の失恋がネックで、信じることに臆病になっている貴悠のフェチはぴったり合うけど心も次第に寄り添っていくのがよいです。
身体だけ、好みだからというたけでなく、ちゃんと歩みよろうと頑張るオジサンとハリネズミみたいな若者。
かわいいですね、二人とも。
また是非とも違うフェチ話を読みたいです!