ゆかのんかズよみごと!!

読んだこと見たことを思い出したらお知らせします。

今日の一作vol.327 ハイスペックな彼の矜持と恋…つまりは恋をしたら矜持も何も越えて相手を喜ばせたくなる

ハイスペックな彼の矜持と恋 (二見書房 シャレード文庫)

ハイスペックな彼の矜持と恋 (二見書房 シャレード文庫)

二丁目界隈で、初めてはマキくんで、と指名されるほど、紳士的なタチである槇は、三十路を前に自分の嗜好に疑問を抱く。そして一度誰かに抱かれて、完璧なタチという自分を壊してほしいと思い、普段踏み入れない大人なバーへ足を向ける。そこで会ったタカシという超肉食なエリートビジネスマンにお試しで抱かれることに。それは槇の想像を超えた悦楽で、これからはそんな自分を認めたうえで、もうタカシとは会わず、彼以上の男も現れないだろうから、セックスもしないという結論に至り、仕事に生きようと思った。
だが、新しくやってきたプロジェクトチームのリーダーがタカシで、リサーチャーの槇にチームに協力してほしいと誘ってくる。
なし崩しに身体の関係も続き、このままでいいのかと不安に思うが。


タチでやってきたのにネコになるというのは、やはり大変なショックなんだろうなあ。
男として、タカシに負けられないという気持ちもあるし、でもタカシを尊敬もするし、共に仕事をしていくことで、お互いを高め合えるという、パートナーとして最高なんだけど、認められない。そのへんのジレンマとかが面白くエッチも濃ゆくてよろしかった。
タカシとしても初めて見たときから好みど真ん中で、エッチも相性バッチリ。
ツンデレなところも、仕事も最高にできる槇を逃すものかと絡んでくるのが、必死だなあと(笑)。
もっと番外編が読みたい二人です。

今日の一作vol.326 人形遊びのお時間…出逢うべくして出逢った

人形遊びのお時間 (キャラ文庫)

人形遊びのお時間 (キャラ文庫)

近未来。
ある日、天才人形師の友人から突然等身大の美少女人形を送りつけられた、作家のガブリエル。
その人形は亡き姉に似ていて、忠実に言うことを聞いてくれる。
インスピレーションを刺激され、その人形、ミレーヌをモデルにカメラを向け創作に没頭していると、撮影時に雨に濡れたミレーヌは倒れてしまう。なんとミレーヌは生身の少年で、何故人形になっていたのかは記憶にないという。
ガブリエルはミレーヌをミロと呼び、勉強をさせ、社会に復帰できるようにしてやろうとするが、ミロに心も身体も預けられ、保護者として受け止めればいいのか一人の男として奪っていいのか悩む。
ミロは人間として認めてくれたガブリエルを愛すが、そこへミロの素性を知るという人物が現れて。


時間を超えて出会った2人。
良かった!面白かった。
時は三次大戦後のお話。
なので人形といってもアンドロイドのようなもので、自由に動いても驚かないので、初めはミロを人形だと思ってしまうんですねー。
ガブリエル自身のほうが人形のように美形だということで、ミロのほうが本当は人間ですと言いだしそこねて、始めは人形遊びのような時間が。
でもま、ミロが割にドンドン押していくので、ガブリエルも躊躇してた部分も押されて受け入れられてよかった。
ミロが人形のように主張しない性格だと、平行線だった。
ミロの出自は読んで下さい。
偶然、奇跡的というしかないルートで生き返ったといいますか。
信じるも信じないも貴方次第というフレーズが聞こえてきそうです。

今日の一作vol.325 後宮秘夜~覇帝と双花の寵妃~…セオリー通りの捕らわれた身代わり皇子の行く末。でも華がある話。

後宮秘夜?覇帝と双花の寵妃? (ガッシュ文庫)

後宮秘夜?覇帝と双花の寵妃? (ガッシュ文庫)

華国の皇子・李雪霞は秘密を抱えていた。それは両性具有であることと、次期女帝になるはずの亡き姉の身代わりを務めていること。そんな折華国は隣国の燿の大軍に侵略されてしまう。燿国の屈辱的な扱いに屈しないために華国の者達は自死を選び、一人逃がされた雪霞だったが燿国の皇帝・劉貴奬に捕らえられ、妃として後宮へと入れられる。男だと知られれば殺されるのか。夜伽を命じられ、覚悟を決めた雪霞だが。


王道も王道。
話の先が見えているので、安心して、むしろどう二人が惹かれ合っていくのかを追っていけて良かった。
このところ読んでいるのが中華風ばかりなので、服装や宮廷内とかがイメージし易くて、スイスイ読めたのもあるのか、身体で落とされていくのもなかなかに味わいありました(笑)
思っていたよりエッチ度が高かったといいますか。
やはり変にひねったものよりいいですね。
王道をいかに面白く読ませてくれるか、それが作家さんの力量ですよね。
いやーよかった。

今日の一作vol.324 僕の中の声を殺して…ウィルスから人間まで寂しさには勝てないのか

僕の中の声を殺して (キャラ文庫)

僕の中の声を殺して (キャラ文庫)

生まれた時から生物の声が聞こえてきた宮澤。親にも誰にも信じてもらえず虚言癖を疑われ13年間一歩も外へ出ずに引きこもっていた。
そこへやってきたのは市役所職員の幟屋。まだ極秘だが、人に寄生して丸ごと乗っ取る謎の生命体が出現し、感染した人は死んでしまうという。
そこで生物の声が聞こえるという宮澤にその捕獲もしくは治療に役立つよう協力を求めてきた。
しかし誰も宮澤の話など聞かなかったくせに今更と拒絶し続けてきたが、幟屋の熱意と細やかな気配りに宮澤は絆され、協力していく。すると今まで聞こえてきたものは生物の感情で、それらをなるべく聞かないように制御することもできるようになってきた。そこまでには幟屋がいてくれるからという安心があり、無意識に宮澤は幟屋に依存していく。幟屋が仕事のことを後輩と話しているだけで嫉妬するように。そして幟屋も肉親をすべて亡くし、仕事に没頭することで自分を保っていたが誰にも心を開かなかった宮澤が自分を頼ることに満足を覚え宮澤を愛しく思うようになり。

結局謎の生命体は謎なんですねー。
好き嫌いが分かれる話です。
私は、読み始めはダメかなと思ったけど、読み進めると味わいがありました。
宮澤のツンデレが可愛い。
幟屋もそれにやられてますな。
謎の生命体「ハイノリ」はそのうち自分達の体を作ってもらってそちらにどうぞという形になるのでは?
まあそこはどうでもいいけど、無闇に人を否定してはダメですね。
まず受け入れて話しあうことから始めよう。

今日の一作vol.323 オタクな美坊主とイクメンアクター…現実だったらこのカプ生々しい

オタクな美坊主とイクメンアクター (ラルーナ文庫)

オタクな美坊主とイクメンアクター (ラルーナ文庫)

寺の僧侶、慈円は住職である父が経営する幼稚園の副園長。そして美形なのに特撮オタク。そんな慈円の前に愛するシャインレンジャーのスーツアクター、朝日アツシが。実は彼は転園してきたばかりの5歳児、真紘の父、幸人だった。
毎朝真紘を送ってくるヨレヨレの怪しげな男だったが、真紘を引き取って父親となった経緯やアクターとしての彼を知る内に憧れから恋に変わり…。

まずイラストがゴメンナサイ、好みではないです。
幼稚園の保護者をうっとりさせるほどの美形にはみえないので。
お話は面白いですが、場面きりかえが、もっとスムーズならよかったな。
なんか慈円の独りよがりな感じのところがままある。
真紘くんのしっかり具合は好きです。
将来慈円を手に入れようと目論むとこが5歳児にして恐るべし。
ちょっとエッチ多めなのが良いのか悪いのか。
もう私的にはそんなにエッチはいらないので。
ドキドキやストーリー展開をもっと読みたい。

今日の一作vol.322 キス…感情は育つもの。ターニングポイントで立ち止まるか進むのか。

キス (ディアプラス文庫)

キス (ディアプラス文庫)

苑にとって家にいることも学校にいることも落ち着くことはない。両親は常に喧嘩をし苑が何をしても気に入らない。同級生はその名字をからかい、苑は息を潜めてやり過ごす。そんな苑に構うのはクラスの人気者の明渡。
どうして苑に構うのかは分からなかったが、2人はある夏の日、神社でキスをするカップルを目撃する。
苑は刺激的過ぎたのか鼻血を出してシャツを汚してしまう。
明渡の家で洗濯してもらうが明渡の親戚の果菜子と出会う。果菜子は苑の事情は知らない為に気軽にお祭りに誘ってくれた。明渡の太鼓を見に行くだけとお祭りに行くと案の定同級生にからかわれて逃げ帰ると家では喧嘩してばかりの両親が情事の真っ最中で追い払われてしまう。追い詰められ消えてしまいたいと雨の降り出す中山奥へと足をすすめる。すると追ってきた明渡とともに土砂崩れに巻き込まれ明渡が頭に怪我をしてしまう。パニックになった苑に明渡はキスをしてきて。
何年たっても明渡は苑の側にいて、キスをして、やがて苑が明渡を好きになった時、明渡は。

タイトルのキスはたいして重要ではないかと。
確かにキスをきっかけに、ということですが、蛇抜(苑の名字で、土砂崩れという意味)のほうが重要。
まあタイトルが蛇抜では一穂さんぽくはならないけど。
明渡が始め苑を構ってたのは大して意味もなく、ほっとけないというのと、うるさいことを言わないからという、それだけ。それが唐突に恋に変わります。
その成り行きは最後まで読んでみるとわかるのですが、その執着で明渡を友達としてしか思ってなかった苑を無理やりモノにしてしまう。
苑は性に対しての嫌悪感はあったが、明渡にたいしては、自分のようなものを欲しいというならくれてもいいくらいと思っていた。明渡の云う通りにして働き金を貯めて家を出ることにし、東京で二人で暮らす。
苑は明渡に依存まではいかないけど、こんな自分を、という気持ちから始まっているので東京で働くようになって、自分に自信も出来て、その辺は明渡に感謝だね。でも明渡の俺様な性格は好かん。
そして明渡の苑への感情がなくなってしまったことがどれだけ苑を傷つけたのか。理不尽や!
そりゃ明渡のせいではないけどね!
でも理不尽や!
苑がちゃんと自立してくれて良かった。
東京へ出てくる前の苑だったらまた消えたくなるだろうに。
まあまあ、読んで下さいな。
私は明渡は好きじゃないけどね。
ラスト、苑は何だかんだ言っても追いかけてきた明渡が、俺様なこといいつつも震える手で苑を掴んでくるのをみないふりして受け入れるのだろうけどね。
明渡の、「リセットされたらまた始めからやり直す」というセリフはよかった。

一穂さんの話はじっくり書き込んでるから読み込んでいかなきゃならない。
それがいいときもあるし笙に合わない時もある。
今回は私の好みから三割ほどのずれがある。

今日の一作vol.321 情熱のかけら…抑えた情熱はピュアとはいえないし何の解決にもならない。友達というカテゴリーにしがみつきすぎ

情熱のかけら (カクテルキス文庫)

情熱のかけら (カクテルキス文庫)

高校の同窓会で再会し、自分とは正反対の藤尾に秘めた想いを再実感した鳴海。
以来、親しかった西崎も含めて3人で月一で会うように。しかし、会う度に好きだという想いを抑えられないようになり、それを知られることの怖さが勝り藤尾に怯えるような態度に。
そんな中酔ったまま藤尾に抱かれてしまう。そしてその後はなし崩し的に関係を持つように。それでも藤尾には彼女がいて、二人の姿を見てしまうと耐えられなくなり、鳴海は藤尾から離れようとするが。

少しも鳴海の気持ちに共感できないし、藤尾の態度にも賛同できない。
短編で、藤尾の気持ちや西崎の気持ちなんかもかかれてますが、それでもそうなのかあ、という気持ちにはならない。
鳴海はただのMなの?というくらいに自虐的だし藤尾の態度に傷つきながらも会うのを止めないという。そして西崎とも慰めとはわかってながら身を委ねるし、西崎の彼氏の恵くんが一番可哀想だし、応援したくなる。
結局友達でいたいといいながらも、みんなそんな立場に満足できてないし、なら告白して気持ちの整理つけてから前に進めよと思うのに、それもしないで自分の中であーだこーだと理由をみつける。
藤尾もまた言葉に出せないなら態度で、抱くなら強引なだけじゃなく愛されてる?と思うくらいに抱いてやれよ。
何かなんでこんな言葉足らずばかりのやつらなの?
イライラする話でしたわ。
単行本の文庫化ということだし、昔の作品ということで、まだこなれてない感じがありあり。
お互い好きだったとわかってから後のイチャイチャがウザイ。
嫉妬と独占欲の好きな方は良いかとおもうけど。