今日の一作vol.314 恋の花咲く…本当の恋をしたことない同士の不器用恋愛。すれ違いを細やかに書いているとみるか噛み砕きすぎて苛立ち煽りすぎとみるか。
- 作者: 椎崎夕,麻々原絵里依
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2017/09/15
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
記憶は曖昧だが自分から誘った形だったのは思い出し、逃げる。
駒澤はあらゆる手を使い伊織を捕まえ、恋人になったのだから付き合うんだとまるめこむ。
伊織は母に捨てられた生い立ちから、結婚はしない、仕事の邪魔をしたらすぐ別れるという条件のもとつきあい始める女たらしとして有名で、駒澤との一夜の前に別れたと自分では思っていた女につきまとわれて困っていた。
駒澤にそのトラブルを解決してもらったり、意外にも一緒にいて楽なことに気付いたりと、次第に伊織は心を開いていくが。
伊織の周りにはいっぱい手を差し伸べてくれる人はいるのに、子どもの頃からその容姿とともに悪目立ちしていた伊織は素直にそれに甘えられない。
そして駒澤も感情というのが一部欠落したような人間。
その二人が関係を持ったことで、変化していく。
その過程がすんごく細かに書かれていて、逐一納得はするけれど、そこまではいらないと思う。
伊織の女からの逃げもイライラする。
二股されてそれを持ち出したくはなくて逃げるだけにしてるとか、誰の為にもならない。
どうして伊織がそうしたのかは書かれてはいるけど、そんなに共感できる理由じゃないし。
しかも椎崎さんの追い詰めはいつも辛いことが多いので、手放しでラスト良かった、とは思えない。
お話は良いのにね。
今日の一作vol.313 ずっとここできみと…幼なじみの青春ラブ。変わらない想いって何だか羨ましい
- 作者: 月村奎
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2018/01/18
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
イケメンで秀才の征矢は理玖をかまい倒すが、それも大学進学までのこと、征矢の成績なら東京へ出るのだろうと思い、理玖はもう一緒にいられるのは今だけと、甘えさせてもらっていた。
しかし征矢は理玖と同じ地元の大学へ行くつもりだと聞き、嬉しい反面征矢の為にはならないと距離をおく。
途端に寂しさがつのり、こんな気持ちは変だ、友達への気持ちじゃなく恋愛なのだと自覚し、征矢といた女の子に嫉妬して本音を零してしまうが。
お互いに好き同士の幼なじみ。
お互いに相手のことを想って、告白したら友達にすら戻れないかもと我慢したり。
ずっと一緒にいたいから。
それが2人にとっては一番なのです。
むしろ征矢のほうが理玖を好きで好きで、家族にも理玖に対して犯罪を犯してしまうんじゃとアヤシマレルほど理玖一辺倒。
今流行りのハリネズミの理玖を、かまい倒して自分だけにお腹みせてもらうようにあの手この手で仕向けている征矢という図が浮かんできます。
そんなにアップダウンのある話ではないですが、じわじわとくる2人の一生懸命な姿が微笑ましいし、理玖のずっとこのままでいたいという意味の中に、理玖とずっといたいというのはもちろん、高校生時代の終わり・学校や友達と大したことでなくても笑ったりぼうっとしたりする日常のままでいたいというのが、ぐっときました。
両親が突然いなくなるという事態になった理玖だからこそ、変わってほしくない時間・場所・関係性。
ずっとここできみと、というタイトルはまさに理玖と征矢の気持ちそのものですね。
わりと征矢が天然の腹黒なんで、いい味だしてる。征矢目線の話も読みたいな。
今日の一作vol.312 ジュリエットは男子高校生…王道学園モノだけど大袈裟すぎるしロミジュリ関係なし。
- 作者: 桃野真幸,宝井さき
- 出版社/メーカー: オークラ出版
- 発売日: 2017/10/23
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
実は中等科のころから昴が大好きで、よからぬ想いを抱いていた未生は、成長し、モロ好みになった昴をものにするために画策する。
両学科の代表が親密になると悲劇が訪れるなどという学校のジンクスなど迷信だとわからせるためにも未生は。。
まるでロミオとジュリエットのよう、ということでのタイトルだと思うのですが、はじめにタイトルをみてどんな話かなと想像したのは、学園祭でジュリエットをやった男子高校生を好きになった、敵対する高校の生徒会長、みたいな話を思いうかべました。
そしたらかけらもロミジュリなんかでてこないので、なんだ?
という拍子抜け。
どたばたや未生や昴の性格などは面白いとは思うのですが、そこまで神的な体力学力があり得る訳なく、BLにしても行き過ぎな感が。
あとイラストが、未生と昴のみでモブも見てみたかったのに、つまらない。
今日の一作vol.311 後宮に星は宿る/後宮に月は満ちる…巻き込まれ人生。何処も後宮は恐ろしい
- 作者: 篠原悠希
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2016/12/22
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 篠原悠希
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2017/06/17
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
金椛国では新しく帝が決まると皇后の一族は族滅法により、捕らえられ先帝の陵に生き埋めにさせられる。
そして遊圭の叔母にあたる玲玉は後宮にはいり東宮の皇子を産んでいたため、急逝した先帝に代わり新たに即位した帝とともに皇后にたったのだ。つまり星家は滅せられることになった。
遊圭は偶然にも逃げ切り一人生き残る。
助けてくれた明々と暮らし始めた矢先、明々が後宮へ召し上げられることに。遊圭は明々の妹として女装し共に後宮の女官として勤めることになった。
そこで玄月という美貌の宦官に星家の生き残りだと見破られてしまう。
だが、玄月は後宮の中を探り協力すれば見逃し、後宮から出してやるという。
仕方なく言うとおりに手足として働くことになるが。
遊圭が段々と丈夫になり、心持ちも甘やかされたお坊ちゃんから成長し、失敗を重ねてほんとにちょっとずつ大人になっていくのが、よくわかります。
そして玄月や皇帝陽元のそれぞれの思惑やその裏にぐちゃぐちゃと絡んでいる謀が本当にこわいですね。
後宮なんてつくらなきゃいいのに。
いやBLものを好んで読んでいる身としては、BL的な展開として玄月と遊圭もしくは帝と遊圭な関係に進むわけですが、正統派ファンタジーですので。
陰謀を暴いたことでこれから遊圭は出世?して修媛として後宮内官になり、帝の手がついてもおかしくないことに!まあそれはないように玄月が画策してくれるらしいけど、また一波乱ありそうで、次巻がたのしみです。
でも声がわりもしたし背も伸びてきた遊圭なんで、いつまで隠し通せるのか、面白いことになりそうです!
今日の一作vol.310 サラリーマンはおやつに入りますか?…遊び人の初恋と夢見るDTの初恋どっちが重い
サラリーマンはおやつに入りますか? (二見書房 シャレード文庫)
- 作者: 朝香りく,桜城やや
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2015/01/26
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
半年が過ぎたある日、美里の住むアパートの上の階から火が出て、部屋は全滅、途方に暮れてバーに行くと何と習志野が自分の部屋に泊めてくれるという。
美里は踊りたいくらい大喜びだが顔には出さず、また遊び人の習志野にDTで恋愛初心者だとバレて重く思われるのも嫌で、つい虚勢を張り、自分も遊び人だという振りをする。
そして泊める家賃代わりに習志野は抱かせろと言ってきて。
当人たちにとっては真剣なやり取りなんですけど、傍観者的な読者は色々突っ込みたくなる。
面白いです。
特に美里の心情を表す宝箱が開いたりして、中から天使たちがラッパ吹きながら現れたり、落ち込むと天使が撤退したり、浮上すると慌てて出てきたり、小皿叩いて宴会してたり、やさぐれてヤンキー座りで煙草ふかしてたりと、想像すると可笑しいし、美里の気持ちが手に取るようにわかるので、読みどころです。
習志野は個人的にはふざけんなと言いたい。
美里が遊び人を装っているとはいえ、家賃代わりにいきなり押し倒すとは何事か。
美里を好きなら、もう俺だけしか見るなぐらい言ってやれ。
情けないぞー。
もう割れ鍋に綴じ蓋ですな。この2人。
今日の一作vol.309 ピアノマンは今宵も不機嫌…男たちの粋な世界を垣間見た
- 作者: 水原とほる,ミドリノエバ
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2017/10/27
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
初めて聴いたそのピアノの音に惹かれて、史也はバーに通うように。
絡まれていたところを助けてくれたこともあり、泰介自身のことも気になり、天涯孤独で工事現場のバイトとかけもちをして学費をかせいでいるという泰介に、声をかけ応援するように。
そんな中、前彼と再会しやり直したいと言われ史也もその気になるが、些細なことから無理だと感じて落ち込む史也を身体ごと慰めてくれたのは泰介だった。
史也は泰介に気持ちを移すが、泰介の気持ちを確かめようとはできなくて。
恋愛と仕事と、絡み合ってどう生かしていくのかというような話、でしょうか。
それがとても自然に史也がクリアしていくのがよかった。よかったというのか、水原さんうまいなあと思いました。
恋愛のみの話は久しぶり。水原さんもあとがきで書いてましたが。
史也と泰介はよきパートナーに出会えてよかった。お互いに足りない部分を補う二人で。
史也と佳彦は史也が我慢しないと続かない関係だろうから、別れてよかった。
未練たらしくやってきてもまた泰介に追い返されるだけだしな。
年取っても二人でバーに通うんだろうなー。
いいなあ渋い男たちって。
今日の一作vol.308 溺愛彼氏と小さな天使…癒やされたいです
- 作者: 西門,陵クミコ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2017/10/18
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
そんな時、元上司と偶然会ってしまう。そして会社を今辞めさせられるらしくそれを稔里のせいにしてきたのだった。ストーカー的なメールや電話に、稔里は皆に迷惑かけたくないと、ひとりで解決しようとするが。
稔里と瑛吾と2人とも傷ついたもの同士で、お互いを想いあえるからこそ惹かれあったんですよねー。内容はもう読んでもらえれば、ほうっと満足のため息でしょう。
ただ元モデル仲間のミカの登場は特にいらないかなー。
唐突すぎるので、何か前置きをしてからの登場ならミカの嫌みとかも、ミカの子供っぽいとこも許せるけど、なんかわざわざ出させないで電話とかでもいいような。
ま、それよりも聖くんに癒やされます。
幼稚園くらいまでよねー。天使なのは。
久しぶりの西門さんのお話。好きな作家さんです。