ゆかのんかズよみごと!!

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今日の一作vol.263 おやすみなさい、また明日…毎日忘れて、毎日思い出す。また明日も。

おやすみなさい、また明日 (キャラ文庫)

おやすみなさい、また明日 (キャラ文庫)


あまり売れない小説家をしているつぐみ。十年来の恋人に子どもがほしいからという理由で別れを告げられる。
傷つき仕事も手につかず、締切に間に合わずに途方にくれていたそんな時に出会った青年、朔太郎の祖父が管理するアパートに越すことに。
アパートの住人はみな癖のある人ばかりだけど、ゲイのつぐみのことも偏見なく受け入れてくれる。そして朔太郎もつぐみの小説のファンだといい、2人でまったりする時間は心地いい。自然と惹かれあい、お互いに好きだと思う。でも朔太郎は頑なに友人としてのつきあいをする。それは朔太郎が記憶障害があるからだった。いつか恋人のことも忘れてしまったら、と。
つぐみは朔太郎のために話を書くのだった。


何度も読み返して何度も泣いてしまいます。
以前にもタイトルだけは紹介しましたが、改めて。
朔太郎は事故で頭を打ち、怪我が治ったあと健忘症に苦しむ。会社を辞め祖父のアパートで、うつろな日々を送っていたときにつぐみの作品を読みあるがままを受け入れるように。
記憶を無くしていく怖さと、記憶障害によって人を恋人を傷つけてしまうことと、それでもつぐみを好きになってしまうことの辛さが、つぐみを通して、じわりと伝わります。何とかしてやりたい、でも代われるものではない。だからつぐみは「朔太郎さんのこと」という話を書く。日常の出来事を書き留めておくだけ。
2人はやっぱり愛し合ってて、忘れてしまったら捨ててほしいという朔太郎にずっとそばにいるとつぐみはいう。
そして一緒に暮らすことになり、1日の終わりに「おやすみなさい」という。
また明日おはようといいなんでもないことを一緒にしたいという、このラストがステキです。

そしてその後のショート。
読んで下さい。
ボロボロ泣いてしまうしネタばれだと興ざめなんで書きませんが、また明日、と朔太郎が愛をくり返すと言えばいいのかな。切ないし悲しいしでも二人は幸せなんだしと、涙が止まりません。
あとがきではこのショートを書きたいから本編を書いたようなものと、凪良さんは書いてます。
私もこのショートなくこの作品は成り立たないと思う。
元は恋愛前夜のスピンオフなんですが、そちらはコミカルな話なんで、ギャップはあります。浸りたい方はむしろそちらを読まなくてもいいですね。

ほんとに泣きたい時は読み返します。
長くなりスミマセン。