今日の一作vol. 370 後宮の烏┅理不尽にも辿り着いた地位で互いに独り
烏妃は後宮の奥深く夜明宮にいながら帝に侍ることはない。
ただ在て、その力をもって宮内を護ることを使命とす。
烏妃になった寿雪のもとへ帝である高峻がやってきてある頼みごとをする。寿雪は最初は断ったが、高峻の帝らしくない振る舞いとその裏に見え隠れする感情に、らしくなく気を惹かれ、引き受ける。
やがて企みまでもが明らかになり、高峻と寿雪の生い立ちと運命的な二人の立場に、烏妃寿雪としてどう立ち向かうのか。
これはミステリーとして位置付ければいいのか。烏妃の謎。事件の謎。リンクしながら解かれていくのは面白い。
そして運命に導かれて出会った二人。
まあ、恋愛的要素はそこはかとなく。これからでしょうかね。
もっと難しく後宮の世界を描いているのかと思ったら、寿雪も高峻もカラリとしていて、それでもシビアで、思うより人間的で。
烏妃の力は失せ物探しや迷える魂を楽土へ送るためで、政治に力は使わないことが、原則だったのに、独りでいなくてはいけなかったのに、さみしすぎて、優しすぎて。
それぞれの個性が、書き込んであるわけでもないのに、言動から知れる。
他にも後宮モノは読んでますけど、文字数は少ないのに様子がよくわかる。
すんなり入ってくるのは凄いですね。
二巻もでてるので、これから読みます。