ゆかのんかズよみごと!!

読んだこと見たことを思い出したらお知らせします。

今日の一作vol.344 後宮に日輪は蝕す/幻宮は漠野に誘う…後宮にいても、外に出ても、命からがら

後宮に日輪は蝕す 金椛国春秋 (角川文庫)

後宮に日輪は蝕す 金椛国春秋 (角川文庫)

幻宮は漠野に誘う 金椛国春秋 (角川文庫)

幻宮は漠野に誘う 金椛国春秋 (角川文庫)

金椛国春秋シリーズ三・後宮編終章と四・新章。

星家の生き残りの遊圭は女官として後宮へ入り、陰謀を暴き出し皇帝の危機を救う。その褒美として、なんと妃嬪にと内示が。男子の遊圭はピンチ。後宮を抜け出そうとして見つかってしまい、結局医生官試験に合格したら望みを叶えてもらうという約束をしたが。

やっと本来の男子の星遊圭と名乗ることができるようになり、後宮もでることができた遊圭。
だが、今度は政略結婚のために遠国に輿入れすることになった麗華の近侍女官としてともに旅することに。
麗華の身辺が心配でもあるし、皇帝直々頼まれてやむなく遊圭は承諾する。
真の任務は失われた日蝕周期表「天官書」を探しだすことで。

これでもかこれでもかと危機が。
漢字多いし状景を想像するのも目まぐるしいけど、その分読んだらぐいぐい引き込まれます。
やっと遊圭女装しなくて生きられるようになったのにー。
まあ主人公が育っていくのは楽しいですね。
玄月が憎たらしいけど、頼りになる。そこがまた悔しい。
これでやっとお家再興できるのかな?

今日の一作vol.343 騎士と魔女の養い子…カワイイだけでは魔法つかいはやってけない

騎士と魔女の養い子 (キャラ文庫)

騎士と魔女の養い子 (キャラ文庫)

コートラル王国の騎士ルドヴィークは魔物が跋扈する瘴気の谷で創世の魔女と言われる魔女を倒したが重傷を負い倒れてしまった。
彼を助けたのは少女のごとき美貌のエレ。一人谷で暮らしているというエレは魔法の力も強く魔物も恐れることはないというが、ルドヴィークはケガが治るとエレを連れて王都へと帰る。
ルドヴィークの家族はエレを温かく迎え、養子にしようとする。しかし国王にエレを謁見させると、実は王太子そっくりなエレは使えると思われたのか幽閉に近い扱いで留められる。
エレ、正式にはエレミアーシュは王太子の双子だった可能性があり、そのために忌み子として捨てられたらしく、しかも拾って育ててくれたのはルドヴィークが倒した魔女で。
エレはルドヴィークといたいだけなのに。

エレの無垢なところが可愛いです。でもわりとイイ性格もしてます。
ルドヴィークも騎士らしい真っ直ぐな性格や気風が、エレが魔力を使うと目と髪の色が変わっても化け物と見ないで受け入れてくれる、そういう度量の深さがしっかりかかれていて、ふたりがお互いに想いあうのがよくわかる。
そのへんの恋愛感情はいいとして、何故エレが捨てられたのか、詳細はぼかされてるし、国王の人となりや王太子やルドのライバルなどの扱いとか、なんか紹介しましたー的な薄っぺらな感じで、せっかく面白い設定なのに、エレとルドの世界で終わるのはもったいないなー。
BLの世界だし、このレーベルではファンタジーを深くは書かれないのはわかってますけどね。

今日の一作vol.342 俳優彼氏と愛されおうちごはん…男前受はヘタレ俳優に狙われてます

俳優彼氏と愛されおうちごはん (幻冬舎ルチル文庫)

俳優彼氏と愛されおうちごはん (幻冬舎ルチル文庫)

子役として活躍していたにもかかわらず高校進学を期に芸能界を引退した瑞穂。今はフリーランスのSEとして独り立ちしていた。
先日子役時代の仲間たちに会い、中でも一番一緒にいた義成は最近家にご飯を食べにやってくる。見た目の繊細さとは反対にパキッとした性格の瑞穂と比べ人見知りな性格の義成は今やイケメン実力派俳優として売れっ子のくせに瑞穂には屈託無く甘えてくる。
頻繁に通ってくるせいでファンがたむろし、結局瑞穂はマンションを引き払い義成と暮らすことに。
暮らしてみると中々快適で、瑞穂は時折子役時代の交流などを楽しんでいたが、義成はある日兄役だった俳優と瑞穂がバーで飲んでいたのを見て激高し瑞穂を襲ってきて。

俳優とご飯作りの2人の話。前回アップしたプリンのと似たシチュですが、こちらは単純明快。
しらっとした顔で瑞穂を囲い込んでと義成がいつキレるかは時間の問題。強姦されても嫌いじゃないという時点でハイ落ちてる!
まあ先がみえてる話だけど、話の運び方がうまいので面白く読めました。
ただもう少し義成の瑞穂へのアピール部分がはっきり分かる文があればなあと。
ニュアンスではわかるけど。

あと相談されていた英利さんの冷めてるけど優しいとこと、でも面白がってるようなとこがツボです。
英さんの話も読みたいです。スピンオフお願いします。

今日の一作vol.341 今宵とびきりのプリン召し上がれ…オメガバースにしては突飛すぎなくじわっときました。

オメガバースの世界。
アルファの両親からオメガとして生まれた悠歩は手に職をと料理人になった。
一流店で勤めていたのだが、同僚たちの嫌がらせによって辞めざるを得なくなり、一人でできる出張料理人として、少しずつ依頼が来るように。
そんなある日、卵かけご飯とサプリメントしか口にできない極度の偏食俳優の食事作りを任された。
オメガにとってアルファの家に行くことは危険だが、顔を合わせないことで請け負った。
だが、食べてもらえたのはプリンのみ。
何が食べられないのか、その理由はとメモを残すと、返事が。
それから段々と文通めいたやりとりが始まり少しずつ食べられるものも増えてきた。
二人は手紙から心を通わせるようになったが、あるスキャンダルから俳優が今一番の売れっ子で悠歩も大ファンの径だとわかる。これ以上は駄目だと悠歩は食事作りを止めることに。
契約の最後の日に径がやってきて、悠歩を運命のつがいだと、付き合ってくれと言ってくるが。

オメガバースは苦手なんですよー。
タイトルでなんか買ってしまって、げー、と思いましたが、読んでみたらそこまでではなかったなのでよかった。
だってオメガバースだと、差別ありきでしょー。それがどうもね。
普通の恋愛に、あ、同性だった、というのが一番好きなので。

この話はまあ土台にはオメガバースでのランクからの幼少期のトラウマでの偏食なんで、虐待とかではないし、差別もそこまでではなかったので、読めました。
そしてアルファとオメガだから反対されるという、典型ですけど、でも径が悠歩を求める気持ちが強く、そしてそれを判ってくれる有力者が味方になってくれてのが良かった。
その辺は愛する2人が引き離されてというロマン派な展開なので読んでて楽しかったです。
結局結婚して子どももできちゃうところが、まあファンタジーですな。

顔を合わせず名前も知らずに、という話は『今宵、雲の上のキッチンで』

という話を思いださせました。
Kindleでは最近ですが、紙媒体はかなり前の作品です。)
よくあるパターンではありますけどね。
今回の話がプリンなせいかふんわりなら、雲の上…はコーヒーなんでガツガツといった印象です。

それぞれ面白いですけど、萌ポイントの違いですな。

今日の一作vol.340 午後9時からは恋の時間…恋は時間制限では縛られないもの。

午後9時からは恋の時間 (ショコラ文庫)

午後9時からは恋の時間 (ショコラ文庫)

就職してすぐの検査で色覚異常であるとわかり、インテリアデザイナーとしては働かせてもらえない佐倉。以来アシスタントとして格下にみられながらも働くが、姉の妊娠に伴い姪の保育園のお迎えを任される。そこで出会った父子は佐倉の理想で、彼・柊はその美貌のみならず服装や小物類までが佐倉の好みだったが、ノンケなのだからと見て癒やしを貰うだけにしていた。
ある日お迎えで雨に降られた2人を自宅で休ませ、柊が同業のインテリアデザイナーで独立したばかりだとわかる。息子の陸のお迎えに度々間に合わないこともあるときき、佐倉は自分が思うように働けない辛さを彼に重ね、少しでも役にたてばと、陸をたまに預かることに。
そして柊への憧れがだんだんと恋愛感情へと変わってしまい。

職場での理不尽な扱い。才能があるのにそれを上手く引き出してもらえないのはその上司や職場の人間の足りなさですよね。
そして佐倉自身ゲイであるということで、また一歩ひいてしまう。
その辺の微妙さをうまく絡ませていて、上手いです。夕映さん。
佐倉のその心の動きもそうですが、柊の気持ちも何だかちょっとした一文で表現されていて、こりゃあ柊って腹黒と見ました!
陸くんも可愛いですが、子供を使うとあざとくなりがちですが、そこはあまり気にならなかったし、イラストのみずかねさんのお子ちゃまは可愛いので、堪能しました。
柊さんはクセありで、佐倉もそれは気づいてるけど、そんなところも素敵となれば、まあ良かったね、苦労が報われてという気持ちです。
うん、良かった良かった。

今日の一作vol.339 獅子王の寵妃 第四王子と契約の恋…ケチではなく節約家の王子がムチをふるいます

獅子王の寵姫  第四王子と契約の恋 (リンクスロマンス)

獅子王の寵姫 第四王子と契約の恋 (リンクスロマンス)

エフセリア国第四王子・クランベールは華やかな外見とは違い、倹約家で守銭奴と呼ばれている。その能力を見込まれ、叔母の嫁ぎ先でもあるシャイセス国の国費管理の補佐を依頼される。
従兄のビリアンが勤める主計局でなんとか財務をやりくりしていたが、到底間に合わず、ビリアンは倒れてしまいクランベールが呼ばれた訳だが、内情を調べると国王ダリアの浪費、貴族たちの贅沢に国庫はもう崩壊寸前だったのだ。
クランベールは直ちにその無駄な出費を押さえ城の金目のものを売り払い必要経費にあてることにした。
当然国王ダリアは文句を言ってくるが、クランベールは意にも介さない。
ダリアの傲慢さをクランベールはものともせず二人の相性は最悪。幾度も衝突していたが、よく知るとダリアはちやほやと育てられた子供のようなものでその性根は真っ直ぐだとクランベールはみた。
ならば自分が育て直すつもりでいてやろうと腹をくくる。
次第にやり取りも慣れたものになったある日、とあるきっかけから身体の関係を持つことになって。

面白い!
俺様わんこのダリアと、ツンデレしない女王様なクランベールのやり取りがよいです。
身体の関係から、ダリアをそれとなくクランベールの思う通りに躾ていくわけですが、徐々に懐いて、もとい、良い関係になっていくわけです。そしてクランベールがダリアを庇って怪我をしたことで、ダリアも国のこと、そしてクランベールのことも本気に想います。
その本気からクランベールは逃げますが、まあダリアは捕まえて丸くおさまります。 
ざっと言えばこんな感じですけど、二人のやりとりというか、エッチにしてもぷぷっと笑ってしまう箇所とかもあったり。
前作の第八王子のフランも出てきます。
大体においては文句ないのですが、ラストはしょりすぎかな?
ダリアのプロポーズを受けて、その後国に帰ってもうちょっとらぶらぶしてほしいかなー。
次回の第?王子の時にらぶらぶしててほしい!

今日の一作vol.338 夜見師…死して尚苦しみは続くのか

夜見師 (角川ホラー文庫)

夜見師 (角川ホラー文庫)

夜見師2 (角川ホラー文庫)

夜見師2 (角川ホラー文庫)

男子は20代前半には突然死んでしまうという呪われた家系の最後の男子・五明輝はせめて死ぬまでに唯一の身内の妹のために稼げるだけ稼いでおこうとホストや便利屋をしていた。
ある日輝はある家に住み込みでの家政夫を頼まれる。給料は破格の値。二つ返事で行ってみると、その家にいたのは、車椅子がまるで玉座に見えるような威厳のある色男。多々良克彦という彼の世話と家の掃除、そして本殿でのあることのために多々良のアシストをすることが主な仕事だった。
そしてそのあることとは、本殿に封じられた多数の祟り神を始末する夜見師・多々良のアシスト。
祟り神一体ずつに相対しそのサワリをうけるため、霊的に対応力があることが求められる。
破格の給料なのも頷ける消耗にも輝はメゲず家事と夜見師のアシストをするが、輝にかけられている呪いの元にも関わる祟り神を始末することになり。


ぐいぐい引き込まれます。
ホラー文庫ですから、霊的な話ばかりです。でも怖いというよりも、怨霊になってしまった人間の悲しみや憎しみなど、むしろ人間的な切なさを感じます。
そして祓い屋とも陰陽師とかとも違う新しい夜見師というスタンス。すごい!

まだまだ祟り神を封じた箱はあり、どんどん始末していかないと、実は死んでるゾンビな多々良さんは体が壊れてしまう前になんとかしないと、祟り神が
残ってしまうと大変なことになるので、焦ってます。
始めは輝と一線引いて対していたけど、呪いも解け、祟り神に情を持ってしまう輝を遠ざけようとします。
が、輝も望んだ訳でもないのに夜見師になってしまった多々良は恩人であり、自分にしかできないアシストを輝を犠牲にしてしまうのではと遠ざけてくれる多々良の俺様ながらの優しさをもっている人で、そんな彼に居場所を見いだした訳です。
そんな2人の意志疎通の無さの、でもなんでかわかっちゃうとこが好きですねー

なんか御手洗と石岡くんの関係に似ている。
相棒(見た目美青年多々良さんは実年齢かなり年なので相棒扱いは嫌がりそう(笑))の地位を確保してどや顔の輝は何だか可愛いです。
まだまだ続くでしょうけど、全て始末できて最後多々良さんがいなくなるだろう展開は想像つくけど、しっかり中村先生は期待通りに書いてくれるでしょう。
何年後に読めるのか、今からドキドキします。
早く続きが読みたいです。