ゆかのんかズよみごと!!

読んだこと見たことを思い出したらお知らせします。

今日の一作vol.319 ダメ博士とそばかすくん…こんなダメ美形はいやだ

ダメ博士とそばかすくん (幻冬舎ルチル文庫)

ダメ博士とそばかすくん (幻冬舎ルチル文庫)

大学生の実里は祖父の営むベーカリーの手伝いで、大学の教授たちにデリバリーをしていた。その一人で、准教授の千堂はとてつもない変人で、実里のことはそばかすくんと呼び個体認識していた。
ある日階段から落ちそうになった実里をかばったため利き手を捻挫してしまった千堂の世話をする為、ひと月ほど住み込みで手伝いをすることに。
何事にも無頓着な千堂に実里はせっせと大型犬を相手にするようにお手入れと躾をして、人並みの生活を送れるように。
落ち着いてくると、もとより好みの美形に味わいある性格に実里は千堂を好きに。さっぱりとした実里は告白をしてみると、二人の関係は変化してきて。


「おとなりの野獣さん」のスピンオフ。
博士のダメっぷりと実里のスパーンとした性格、二人のやりとりがすごく面白い。
博士はホントにどうしようもないですね。現実だったら手も出したくないです。めんどくさい。
まあ千堂の相手は実里にしか出来ないということでしょう。
愛の言葉がすらすらと天文を専門にしているから宇宙になぞらえて出てくるのが感心しました。
そんなやりとりがただただ面白い。

今日の一作vol.318 他人同士ーEncoreー…愛に仕事に男たちは輝いてる

他人同士: -Encore!- (キャラ文庫)

他人同士: -Encore!- (キャラ文庫)

〈他人同士〉の番外編集ほか。
央剛舎の編集者の諒一は一夜限りの関係を好むタチだったが、カメラマンの暁をやむなく同居させてやることに。仕事の関係者とは寝ない主義だったが、好みの男と一緒に寝起きしてて我慢できずに、押し倒したら、ストレートの暁に逆に押し倒された。
その後紆余曲折を経て、暁のおおらかな愛にどっぷりはまり、暁を受け入れることか出来た。
そしてその後、仕事をバリバリとこなし、諒一にも昇格の話が。馴染みのエイダ編集部から週刊央剛へ?
これ以上忙しくなるのか?


他人同士、大人同士、と読んでから今回のencoreを読むと、楽しいです。
番外編は日常のイチャイチャが読めますし、書き下ろしでも、ちゃんと安心して読めました。
諒一は一度人間不信になる程酷い振られ方をしたことがあるので、一夜限りの関係しかもてなくなったのもわかります。
それを年下なのに包みこむようなおおらかさを持つ暁に出逢えて本当によかった。
パートナーを得られるというのはゲイには難しいことだし、ましてや編集者という変則的な仕事の人は大変ですよねー。
この話しを通してこの仕事の大変さをまた思い知りましたね。
愛も仕事もどちらも大事で、男の人は大変だけど、それも生きがいなのかな。

今日の一作vol.317 金獅子陛下は後宮で子育て中…BLファンタジーそのものですねー…

金獅子陛下は後宮で子育て中 (角川ルビー文庫)

金獅子陛下は後宮で子育て中 (角川ルビー文庫)

白獅国は始祖皇帝が霊獣の血をひくといわれ、その繁栄は三百年も続く。
門下生もいなくなった貧乏道場主の花偀は、仕事を探しに市場へ出掛けたところ、元兄弟子の銖王と再会した。
なにやら訳ありな様子で、銖王の連れていた小青という子どもを預かってほしいと言われ、花偀は快諾する。
しかし、小青を狙った追手に道場を襲われてしまう。迎えに来た銖王に助けられ、小青とともに連れていかれた先はなんと後宮。実は銖王は皇帝で、小青は次期皇帝。花偀は小青の母親として後宮で小青を守ってほしいといわれるが。

かなり細かいところがアバウトですが、小青の可愛さで帳消しです。
でも銖王が何の説明もなく、昔から好きだったとかいう一言もなく、皇帝の役目的な感じで花偀を押し倒してしまうのはなんですかねー。
銖王を好きな花偀としては不安ながらも受け入れちゃうよねー。
結局は金獅子族と黒獅子族との争いで、皇帝を決めるのも獅子として強いかだけできめるのはなあー。
ファンタジーなんで仕方ないですが、このところモフものばかりで、飽きてきた。
出すなら徹底的に設定決めて感動させてほしい!!

今日の一作vol.316 犬も送れば恋に落ちる…犬好きモフ好きが妖怪でもイケメンの犬に迫られたらイチコロよ

犬も送れば恋に落ちる (ショコラ文庫)

犬も送れば恋に落ちる (ショコラ文庫)

大学の時に趣味の山歩きの途中迷った陽向に、なわばりの山で迷った人間を麓まで送る代わりにお礼を貰う送り犬の野分は出会う。大の犬好きの陽向は大型犬の見た目の野分を怖がりもせずにかまい倒す。今まで恐れられるだけだった野分はそんな陽向と離れがたくなるが、人間と妖怪では住む世界が違うと諦め、陽向を麓まで送り、礼としてふたりで過ごした記憶を貰う。
その後陽向はすっかりと忘れ十二年が過ぎ、カフェを経営の傍ら趣味で山歩きをしていた。
野分はやはり陽向のことが忘れられないと、陽向のくれたビスケットの包みを頼りに陽向を探し、やっと巡りあい、犬姿を見せて釣り、マーキングしてしまう。そのまま陽向のカフェに居座り続けてイケメンウェイターとして働くが、ある日謎の老人たちがやってきて。


陽向の犬好き度がヤバいです。
エッチのときと犬耳と尻尾つきのが燃えてしまうというモフ好き。
だからこそ野分に会った時に有り得ないくらいの構い方で、野分が恋しちゃうのだけど。
まあ結局妖怪だから、子供もいずれ授かるだろうし、老人たち送り犬の現統領以下も見守る姿勢なのだわー。
話は単純バタバタですが、面白かった。
やや野分がチャラくなりすぎなのがなー。
時代錯誤のとこがよかったのに、すぐ現代に慣れちゃうのはちょっと。
颪ちゃんがかわいい!
子ども姿のイラストも見たかった。

今日の一作vol.315 鬼の棲む国…日本昔話+ファンタジー+美女と野獣

鬼の棲む国 (B-PRINCE文庫)

鬼の棲む国 (B-PRINCE文庫)

屈強な肉体を持ち圧倒的影響力から鬼と譬えられる強大な国、北の国。
以南の国々で十年ごとに1人、王族から北の国へといわば人質を送りその代わりに攻め込むのはやめるという協定を結んでいた。そして東の国が今年その役を負う。
東の国の第四王子のカナギは、昔落馬で負った怪我のために歩くのも杖を借りていた。そんな自分が出来ることは人質に選ばれること、と、常から北の国の言葉を学び様々な勉強をする。その努力もあって、やってきた北の国の使者・第六王子であり陸将軍でもあるサスナに選ばれ、北の国へと向かう。
そしてやってきた北の国では思っていた酷い扱いはされず、サスナに様々な贈り物をされたり、身体を求められても恋人のように愛されたりと、戸惑うばかり。
次第にサスナに心を開いていくが、それが恋情ゆえと思ってはいけないと、カナギは自分を自分で抑えこみ素直になれず。

鬼に食われる覚悟だったのに、思ってたのと違う、とカナギは混乱するのはもちろんですよね。
それに気付かずサスナは想いを伝えることもなくとりあえずプレゼント作戦。
それで辛抱たまらずいたしてしまうわけですが!そりゃカナギが抵抗できるわけもないのに、受け入れられたともうサスナは恋人気分。まったく。大きな鬼さんが右往左往してるのがなんだか可愛い。
所々に昔話のベースがあるけど、うまくミックスしてて、新人さんなのに巧みな方だと思いました。
イラストも闇丸さんなのにいつにない倭国っぽい衣装のせいなのか、武骨さがなくカナギが美しくて良かった。

今日の一作vol.314 恋の花咲く…本当の恋をしたことない同士の不器用恋愛。すれ違いを細やかに書いているとみるか噛み砕きすぎて苛立ち煽りすぎとみるか。

恋の花咲く (幻冬舎ルチル文庫)

恋の花咲く (幻冬舎ルチル文庫)

版画家の伊織は酔った勢いで、顔見知りだが苦手な相手である駒澤と一夜を共にしてしまう。
記憶は曖昧だが自分から誘った形だったのは思い出し、逃げる。
駒澤はあらゆる手を使い伊織を捕まえ、恋人になったのだから付き合うんだとまるめこむ。
伊織は母に捨てられた生い立ちから、結婚はしない、仕事の邪魔をしたらすぐ別れるという条件のもとつきあい始める女たらしとして有名で、駒澤との一夜の前に別れたと自分では思っていた女につきまとわれて困っていた。
駒澤にそのトラブルを解決してもらったり、意外にも一緒にいて楽なことに気付いたりと、次第に伊織は心を開いていくが。

伊織の周りにはいっぱい手を差し伸べてくれる人はいるのに、子どもの頃からその容姿とともに悪目立ちしていた伊織は素直にそれに甘えられない。
そして駒澤も感情というのが一部欠落したような人間。
その二人が関係を持ったことで、変化していく。
その過程がすんごく細かに書かれていて、逐一納得はするけれど、そこまではいらないと思う。
伊織の女からの逃げもイライラする。
二股されてそれを持ち出したくはなくて逃げるだけにしてるとか、誰の為にもならない。
どうして伊織がそうしたのかは書かれてはいるけど、そんなに共感できる理由じゃないし。
しかも椎崎さんの追い詰めはいつも辛いことが多いので、手放しでラスト良かった、とは思えない。
お話は良いのにね。

今日の一作vol.313 ずっとここできみと…幼なじみの青春ラブ。変わらない想いって何だか羨ましい

同じ病院で生まれて高校までずっと一緒の理玖と征矢。高校入学直前に両親を事故で亡くした理玖。当時は食事もとれないような有り様だったが3年の今では落ち着きを取り戻している。それもすべては征矢の至れり尽くせりの結果だった。
イケメンで秀才の征矢は理玖をかまい倒すが、それも大学進学までのこと、征矢の成績なら東京へ出るのだろうと思い、理玖はもう一緒にいられるのは今だけと、甘えさせてもらっていた。
しかし征矢は理玖と同じ地元の大学へ行くつもりだと聞き、嬉しい反面征矢の為にはならないと距離をおく。
途端に寂しさがつのり、こんな気持ちは変だ、友達への気持ちじゃなく恋愛なのだと自覚し、征矢といた女の子に嫉妬して本音を零してしまうが。


お互いに好き同士の幼なじみ。
お互いに相手のことを想って、告白したら友達にすら戻れないかもと我慢したり。
ずっと一緒にいたいから。
それが2人にとっては一番なのです。
むしろ征矢のほうが理玖を好きで好きで、家族にも理玖に対して犯罪を犯してしまうんじゃとアヤシマレルほど理玖一辺倒。
今流行りのハリネズミの理玖を、かまい倒して自分だけにお腹みせてもらうようにあの手この手で仕向けている征矢という図が浮かんできます。
そんなにアップダウンのある話ではないですが、じわじわとくる2人の一生懸命な姿が微笑ましいし、理玖のずっとこのままでいたいという意味の中に、理玖とずっといたいというのはもちろん、高校生時代の終わり・学校や友達と大したことでなくても笑ったりぼうっとしたりする日常のままでいたいというのが、ぐっときました。
両親が突然いなくなるという事態になった理玖だからこそ、変わってほしくない時間・場所・関係性。
ずっとここできみと、というタイトルはまさに理玖と征矢の気持ちそのものですね。
わりと征矢が天然の腹黒なんで、いい味だしてる。征矢目線の話も読みたいな。