ゆかのんかズよみごと!!

読んだこと見たことを思い出したらお知らせします。

今日の一作vol.309 ピアノマンは今宵も不機嫌…男たちの粋な世界を垣間見た

ピアノマンは今宵も不機嫌 (キャラ文庫)

ピアノマンは今宵も不機嫌 (キャラ文庫)

広告会社に勤める史也はある日取引先の人に紹介されジャズバーを訪れる。その時ピアノをひいていたのは無愛想で精悍な見た目の医学生の泰介。
初めて聴いたそのピアノの音に惹かれて、史也はバーに通うように。
絡まれていたところを助けてくれたこともあり、泰介自身のことも気になり、天涯孤独で工事現場のバイトとかけもちをして学費をかせいでいるという泰介に、声をかけ応援するように。
そんな中、前彼と再会しやり直したいと言われ史也もその気になるが、些細なことから無理だと感じて落ち込む史也を身体ごと慰めてくれたのは泰介だった。
史也は泰介に気持ちを移すが、泰介の気持ちを確かめようとはできなくて。


恋愛と仕事と、絡み合ってどう生かしていくのかというような話、でしょうか。
それがとても自然に史也がクリアしていくのがよかった。よかったというのか、水原さんうまいなあと思いました。
恋愛のみの話は久しぶり。水原さんもあとがきで書いてましたが。
史也と泰介はよきパートナーに出会えてよかった。お互いに足りない部分を補う二人で。
史也と佳彦は史也が我慢しないと続かない関係だろうから、別れてよかった。
未練たらしくやってきてもまた泰介に追い返されるだけだしな。
年取っても二人でバーに通うんだろうなー。
いいなあ渋い男たちって。

今日の一作vol.308 溺愛彼氏と小さな天使…癒やされたいです

溺愛彼氏と小さな天使 (幻冬舎ルチル文庫)

溺愛彼氏と小さな天使 (幻冬舎ルチル文庫)

上司の執拗なパワハラに心身疲れはて会社を辞めて実家に帰った稔里。両親に心配かけたくないと事情は話してない。久しぶりに帰った実家の隣でカフェを営む元モデルの瑛吾とその甥っ子の聖と出会う。カフェを手伝ったり聖の世話をするうちに癒やされ、そして瑛吾とも気持ちを通わせるように。
そんな時、元上司と偶然会ってしまう。そして会社を今辞めさせられるらしくそれを稔里のせいにしてきたのだった。ストーカー的なメールや電話に、稔里は皆に迷惑かけたくないと、ひとりで解決しようとするが。


稔里と瑛吾と2人とも傷ついたもの同士で、お互いを想いあえるからこそ惹かれあったんですよねー。内容はもう読んでもらえれば、ほうっと満足のため息でしょう。
ただ元モデル仲間のミカの登場は特にいらないかなー。
唐突すぎるので、何か前置きをしてからの登場ならミカの嫌みとかも、ミカの子供っぽいとこも許せるけど、なんかわざわざ出させないで電話とかでもいいような。
ま、それよりも聖くんに癒やされます。
幼稚園くらいまでよねー。天使なのは。
久しぶりの西門さんのお話。好きな作家さんです。

今日の一作vol.307 記憶にない恋…大味すぎる

記憶にない恋 (ショコラ文庫)

記憶にない恋 (ショコラ文庫)

興信所の調査員として勤める土方は自分の両親たちの経験から浮気を許さず、離婚を推奨することが多かった。
新人のクニオと、ある夫婦の浮気調査に向かうことになるが、そのクニオは実は未来から来た工作員だと告げられる。そしてこの夫婦を離婚させると未来にて人類の危機にもなるという。
土方は信じられないとは思いつつ色々証拠をみせられクニオの任務に協力することになるが。


設定とかはいいんです。
ただあんまりにも簡単に恋に発展してくなあと。クニオにとっては何回目かの土方へのチャレンジで、土方に惹かれてしまいました、というのはわかるけど、過程が独白めいたものであんまり感情が読み手に伝わらない。
土方もクニオのどんなところに惹かれたのかは書いてますが、なんかはいりこめません。
シナリオを読んでいるみたいな感覚です。
むしろクニオの独白がない方がよかったのかも。
ごめんなさい。「君の名は」と「時をかける少女」のあらすじかいつまんだ感じの印象しかないです。
なんならもっと最初っからエッチしちゃってどうしようから始めてみるほうがBLらしく面白かったのかな。

今日の一作vol.306 王と緋の獣人…朱虎をもっとメインに出してガンガン攻めて欲しかった!

王と緋の獣人 (ショコラ文庫)

王と緋の獣人 (ショコラ文庫)

人間と獣人がいる世界。風樹国では共存を認めてはいるが、まだ獣人に対しての扱いは奴隷よりも低い。そんな国の第二王子、碧泉は、王位継承の証である翡翠と藍の瞳を持っていた。
碧泉は成人を迎えるまで城の外に出てはならなかったが、兄王子の青磁のために外にでて、賊に捕まり封印の剣により王位継承を封印されさらに売られようとした。だが子供の頃に出会い共に暮らしてきた獣人の朱虎に救い出される。
王位継承を出来るのは藍と翡翠の瞳を持つ者でないとならない。それ以外は王としての役目を果たせない訳があった。
奪われた封印の剣を探し出し自分か兄が封印を戻すしかないのだった。
そして6年がたち、とうとう父である王か亡くなり、風樹国が窮地にたたされるが。


ファンタジーとしてはよくできた設定です。封印の剣などのアイテムは大好きです。ですが、これはBLなんで朱虎と碧泉のラブがありそちらをメインにと考えるなら物足りない気が。
朱虎が碧泉を好きになるのはわかるし、碧泉も根っからの王子なんで守られて愛されるは当たり前だし、ずっと一緒でカッコイよく成長した朱虎に心も体も惹かれない訳ないのです。
だがしかし、2人がちゃんと気持ちを伝えあってないし、発情期でやっちまって気持ちは通じてるとは思うけど、朱虎の登場シーンがいつもいきなりだし、朱虎の気持ちより結局全ての悪意の元である青磁の気持ちのほうが詳しくわかるという、恋愛事情は4割程度の話に。エッチシーンはあるけれどねー。
あとラストにも、もし后を目処って子供を作らないとならないとしても、抱かれたいのはお前だけだ、と碧泉が朱虎に言いますが、それはいやだなー。
なんか救いの道を作ってほしかったなー。
それこそ翡翠と藍の瞳をもつ子を見付けるとか、封印の剣で代々王位を授けられるようにするとかさー。
ちょい不満足です。

今日の一作vol.305 真夜中クロニクル…旧版・新版ともに違った感動。好きです。

真夜中クロニクル (プラチナ文庫)

真夜中クロニクル (プラチナ文庫)

真夜中クロニクル (リリ文庫)

真夜中クロニクル (リリ文庫)

光線過敏症のニーナ。いじめられてひきこもりに。18の時に夜出歩いていると7津年下の陽光と出会う。邪険にしても慕ってくれる陽光。ニーナは少しずつ心を開いていく。そして月日が過ぎニーナは音楽で、陽光は役者として台頭していくことになるが。

ニーナと陽光の、苦しくてもそれぞれの道を進みながら互いに手を伸ばして、探り探り愛しあう様子が染み入ります。
新版のこちらは書き下ろしが一編入ってます。ニーナが東京へ引っ越した日のことです。可愛いです。
あとイラストが違います。
旧版は小山田あみさん
新版はyocoさん
どちらも好きですね。でも小山田さんのニーナは男前。yocoさんのニーナは繊細。陽光は小山田さんのほうがイメージぴったりかな。子供っぽいけど、いい男になりそうな感じが。yocoさんの陽光はもう大人として完成されてる気がします。
カットの場所も違うので、今回二冊を改めて読んで、同じ話ですが、なんかお得感ありました。
前もこの話をお薦めしたと思うけど、やはり良いです!

今日の一作vol.304 スイーツ男子の恋愛事情…甘いだけの話じゃなかった。甘いけど。

スイーツ男子の恋愛事情 (プリズム文庫)

スイーツ男子の恋愛事情 (プリズム文庫)

隠れスイーツ男子の冬真は、コンビニで最後の一個のクレープを同時に買おうとしてことで諒介というイケメン社長と知り合った。彼は冬真と違いスイーツ好きを隠さない。強引にもパンケーキ店に誘われ、そこからスイーツ巡りなどを楽しむ仲となった。
冬真は父親に男は甘いものなど食べるな、など男らしくあるべく厳しく言われそれに応えられない自分を駄目な人間だと思っていた。男としてコンプレックスを刺激される諒介だが彼といるのは楽しい。そんな時、自分でケーキを作ってみようということになり冬真は諒介の家へ。そこで冬真は諒介にどうしてだかおいしく食べられてしまい。


よくある話ですが、冬真と諒介の気持ちの揺れ動きがよくわかって面白かった。
冬真が自分に自信がないことやスイーツ好きを隠すことは、父親や家族との確執からなんだけど、それもまた諒介との出会いやつきあいの中で変化して、二人の関係ともによい方向へいってくれて、ちょっとハラハラするけど、うまい具合にニヤリとさせてもくれる。
うまい作家さんだと思います。
普段は乙女系のほうを書いているらしく、BLは久しぶりとありましたが、すっきりと読みやすい文体ですし、他の話も読んでみようかなと、思いました。 
パンケーキ食べたくなりました。(≧∀≦)

今日の一作vol.303 獅子王子と運命の百合…もふもふアラビアン、あとひとパターン欲しかった

獅子王子と運命の百合 (ショコラ文庫)

獅子王子と運命の百合 (ショコラ文庫)

神社の四男・喜祥は商社に勤めるかたわら、家の神事の神楽では笙を吹いていた。それを見ていた休暇で日本を訪れていたアラビア半島の小国・シンラー王国の王子ラシードに見初められ、いきなり私の牝になれと迫られる。むろんキッパリ断るが、ラシードは何故かするすると家に居ついて牝になれと口説く。実はラシードは獅子族という稀少な一族でそして喜祥も僅かにその血をひいているという。そして男であり牝でもある、いわゆる両性であるといい、喜祥も知らなかった牝の穴をさぐり指を入れて真実だと教える。そして当然のように種付けをしようとするが。


設定やラシードや喜祥、その他登場人物も個性的で面白いです。
喜祥もラシードも惹かれ合っていく過程もよくわかるし、喜祥が前はダメと頑なになるのもわかるし、ラシードが喜祥にはちゃんと向かい合うためにも喜祥からお願いされるまではと約束を守るのもわかる。
でも、同じようなやりとりが続き、そして同じような邪魔というかが入るので、ちょっとくどいかな。
そのやりとりをはしょって、二人が結ばれてからのをもう少し書いてほしかった。
できれば、チビもふ見たかった。
子供できました!まで読みたいでしょ。
なんかお預けばかりでようやくと思ったら寸止めされた気分。
本の厚さのわりには、主人公たちのスペックのわりには、普通。
もったいないな。